本日おすすめするのは、グリム童話のキャラクターをはじめとする、あらゆる怪物や魔物(物語ではひとまとめで「ヴェッセン」と呼ばれます)が実在するという設定の、ダーク・ファンタジー作品です。
主人公は、殺人課に務めるニック・ブルクハルト刑事。
普通の人間の中に紛れ込む異形のモノを知った彼は、余命いくばくもない叔母マリーから、自分たちが人間に扮する「ヴェッセン」の真の姿を見ることができる、グリム一族の末裔であることを告げられます。グリム童話は、そんな先祖によって書かれた物語で、実際には「魔物退治」こそが彼らの生業。
グリム一族が、一見人間であるヴェッセンの正体を見抜くのと同時に、ヴェッセンたちも彼らが「グリム」であることに気が付きます。グリム一族の瞳には、鏡のように彼らの真の姿が映し出されるからです。
ニックはマリーから、グリム一族に伝わる書物・武器・薬類などを保管してあるトレーラーを譲り受けます。分厚い書物類には、数々の魔物の外見・特殊能力・退治方法が記されており、大きな助けとなってくのです。
読書(物語)好きの人間にとって、グリム童話は自分たちのベースと言っても過言ではありません。
子供向けの絵本はかなりソフトに修正されていて、原作がいかにグロテスクかも承知の上です。
よもやそのグリム兄弟が、ストーリーテラーではなく狩人だったとは。なかなか心躍る設定です。
不可解な殺人事件が頻発し、警察として捜査にあたるニック。実は往々にしてヴェッセンが関わっており、ニックはひそかに自身の能力と技術を活用し、解決にあたっていきます。
ヴェッセンにとってグリム一族とは、正体がばれると同時に命を奪われる非情な存在でした。そのため敵視し憎むべき対象として挑みかかってきます。
しかしニックは、ヴェッセン=退治すべきもの、とは考えません。事実、穏やかに人間社会に溶け込むヴェッセンも多く、親友ともいうべき関係を築くモンローにいたっては、ベジタリアンの狼男という人畜無害ぶり。
その後も様々なヴェッセンが登場しますが、そのキャラクターはバラエティに富んでいて、恐ろしくもありワクワクさせてもくれます。
徐々に秘密を知るようになった、ニックの周りの人々。その関係性も変容を遂げていき、敵味方が交錯していくその人間模様も見逃せません!
ホラー、ファンタジー、ミステリー、アクション、恋愛。様々な要素が詰まった、一粒で何度もおいしい作品です。ラストも意外でしたが、これもアリ!ととにかく見ごたえ十分です。
ぜひ現代版グリム童話をご堪能下さい。
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