「物語」が大好きな私にとって、大人になっても「おとぎ話」はずっとキラキラした輝きを感じさせるものです。
たまたまBSでちらりと見たこの作品。現代の世界からクロスオーバーで、非常に質の高いおとぎの国が現れて…これは絶対好きなやつ!と即DVDをレンタルして一話目から見ることにしました。
調べてみると、ウォルト・ディズニー・カンパニー傘下のABCスタジオが製作する「本物」ですし、クリエイターにガッツリはまった『LOST』の製作陣が絡んでいるというのですから期待しかない。
主人公エマ・スワンは、ボストンで「人探し」を生業とする有能な調査員。
孤児として育ち犯罪にも手を染めた過去があるものの、今は独り身ながらまっとうに暮らしています。
そんな彼女は、28歳の誕生日を1人で祝っていました。ろうそくを吹き消しながら願ったのは、誰かと過ごすこと。
そこへ突如として、エマの息子だと名乗る10歳の少年ヘンリーが訪ねてきます。事実、エマは10年前に出産をしていたものの、育てる自信がなく養子縁組をしていました。
どうやらヘンリーは、彼女が手放した実子であるらしい。
しかし今更どう関わるもなく、彼を養母のもとへ送り届けることに。
ヘンリーがの暮らすのはストーリーブルックという田舎町。
ヘンリーは、養母レジーナが「悪い女王」で、呪いによってこの町を作り出したと主張します。
さらにヘンリーの学校の先生であるメアリー実は白雪姫、町の病院にいる身元不明の昏睡状態の患者はプリンス・チャーミングで、エマは二人の娘であり、呪いを解くことができる救世主であると。
もちろんエマは信じませんが、息子とその養母の関係性に不安を感じ、保安官として町に残ることを決めます。
実際ヘンリーは正しく。
白雪姫に恨みをもつレジーナが自分たちの世界「魔法の森」のみんなに呪いをかけ、魔法によって「魔法のない」世界へ行くため、作り出したのがストーリーブルックでした。
町の時間は止まっており、彼らは自分たちが何者でどこから来たのかすべてを忘れ、ただ毎日を同じように過ごしているだけで、そのことに疑問すら感じていない状態でした。
しかしエマがやってきたことで、止まっていた町の時計が動き始め、やがて住人たちは記憶を取り戻すことになるのです。
「世界で一番美しい」はずの白雪姫が、さほど美女ではないのは少し気になるところ。このドラマにおける白雪姫は、泥棒であり革命軍の指導者という設定なので、まあそのリーダーシップをうかがわせるキャラクターとしては、べたべた甘々の美女は求めていないのでしょうが。
元祖ディズニー映画の「白雪姫」の「王子様」と同じくプリンス・チャーミングの方は、なかなかの王子様ルックス。しかし白雪姫の強さからすると、やや軟弱な立ち位置。
しかし次第に、二人のバカップルぶりは、物語のゆるぎない中軸となっていくのは、本家「白雪姫」のエバーアフター(めでたしめでたし)の新たな解釈として、なかなか面白い。
また彼らを呪うレジーナより、実際に最も邪悪なのは、町ではゴールドとして暮らすルンペルシュティルツキン「不死の闇王」です。グリム童話では、ごく短い物語に登場するルンペルですが、この物語では最強と言っていい「力」の持ち主です。
そんな彼は、実は闇王かつ「美女と野獣」の野獣でもあります。すなわち、愛する女性ベルが存在するのです。物語同様、真実の愛を勝ち得た高潔な彼女は、何度となくゴールドの良心を揺さぶるのですが、一筋縄ではいきません。
ほかにも保安官が『不思議の国のアリス』のマッドハンターであったり、ヘンリーのカウンセラーであるアーチー先生は『ピノキオ』のコオロギ:ジミニー・クリケットであったり、みんなの集うダイナー「おばあちゃんの店」の主は『赤ずきんちゃん』のおばあちゃん。孫娘でウエイトレスのパンクな美女はもちろん赤ずきんだったり、教会のシスターたちはメアリーゴッドファザーはじめとする妖精だったり、未婚で一人出産を控えるシンデレラがいたり。
その後シーズン2では、魔法の森に飛ばされたエマと白雪姫が出会うのは、『眠れる森の美女』オーロラや『ムーラン』その人。
シーズン3では、『ピーターパン』のフック船長が現れ、その後物語の重要人物に。もちろんネバーランドが存在することがわかり、ピーター・パンやティンカー・ベル、ウェンディも登場しますし、段々と増えてきた「世界」を、海を通じて行き来できる『リトル・マーメイド』のアリエルも仲間に加わります。さらにロビンフッド、ラプンツェル、『オズの魔法使い』西の悪い魔女ゼリーナ。
シーズン4は当時大流行していた『アナと雪の女王』のアナやエルサが中心となります。ちなみに実写の二人は、アニメに忠実でかなりかわいい!さらにヴィラン(悪者)であるマレフィセント、海底の魔女アースラ、『101匹わんちゃん』のクルエラがタッグを組んでみたり…。
とにかくたくさんの童話のキャラクターたちが入り乱れ、この物語オリジナルの関係性で結ばれ、忘れたころに再登場したり、思いがけないところで意外な世界とつながっていたりと、世界観はどんどん広がりを見せます。
そしてシーズン6で一通り、物語はしっかりと結末を迎えることになるのですが。
ほとんどのレギュラーメンバーが離れ、レジーナとルンペルの、当初の悪の2巨頭が「ヴィランは幸せになれないのか」をテーマとしたシーズン7が、一種の「アナザーストーリー」として制作されています。
正直、本筋はもう完結してるし、レギュラーメンバー抜けてるし、見なくてもよいかな~と思っていたのですが。最近気が向いて見たところ、思った以上に、レギュラーメンバーもちょいちょいゲストで出演があるし、このシーズンをもってこそ、やっとこの物語の「エバーアフター」が完成であったことにも気が付きました。
実はシーズン3あたりで一度飽きて、アナ雪ブームにのっとったシーズン4ではちょっと「おなかいっぱい」と感じたのですが。そこを乗り越え?最後まで通して見たことで、ああ「おとぎ話」ってこうじゃなきゃ!とスッキリ、本を閉じることができました。
童話の世界に遊んだことのあるすべてのファンタジー好きへ贈る、現代版フェアリーテイル。童心にかえりつつ、大人の心も十分満足させてくれる作品ですよ!
Series:21「ワンスアポンアタイム」season1(2011)-7(2018)

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