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Movie:15「マーズ・アタック!」(1996)

文字通り「火星人来襲」を題材とした、SFコメディ
内容やテイストはB級映画をほうふつとさせますが、もちろんそれも演出。
鬼才ティム・バートン監督作品ですし、ジャックニコルソンピアース・ブロスナンといった、超大物俳優が名を連ねているだけでも、さすがに先日ご紹介したガチB級『宇宙人ワンさんとの遭遇』とは一線を画します。
監督・俳優がただ有名というだけではなく、センス抜群のブラックっぷり。

物語冒頭、まずわかりやすいUFOが地球に到来します。
すわ地球侵略か?と懸念する人々と、いや友好的な外交だろうと好意的に受け取る派で盛り上がる中。
脳みそむき出しのグロテスクな宇宙人たちが、テレビジャックによりコンタクトを取ってきます。
彼らは自らを「ミドリ星人」と名乗る火星人でした。

アメリカ大統領デイルは「和平派」の立ち位置で、彼らを歓迎するセレモニーを開催します。
着陸した火星人大使と地球側代表のファースト・コンタクトは、一見平和的に行われるのですが、平和のシンボルとして放された鳩を、大使が即座に撃ち殺したところから様相が一変。その場にいた人々も、次々とレーザー銃の餌食に。
それでも和平交渉を続けようとするデイルでしたが、彼らの残虐行為は悪化の一途をたどります

まずラスベガスが襲われ、彼らは好き放題に殺戮さつりく行為を繰り返す中。
彼らを一目見ようとする野次馬。人儲けをたくらむ者。ただ居合わせた気の毒な面々。
そして本人役で出演の歌手「トム・ジョーンズ」らショーを続ける者もいれば、宇宙人を救世主とあがめるヤバい奴らも現れます。

様々な思惑をもつ人々を翻弄しながら、世界中で大暴れする火星人たち。
まあその内容が、完全に遊んでいます。絶世の美女に化けてホワイトハウスに紛れこみ、あざ笑うように攻撃を始めたり、母船では拉致した人間の首と犬の体をすげ替えてみたり。
残忍かつ狡猾な彼らは、次々と地球人を追い込んでいくのです。

世界中がパニックに陥る中、カンザスの片田舎でトレーラーハウスに住む青年リッチーは、耳の遠いおばあちゃんのことを心配し様子を見に行くことに。
おばあちゃんは周りの騒ぎに気付くことなく、ご機嫌で大好きなレコードを聴いています
そんな孤高のおばあちゃんのもとへも、やがて魔の手が…。

とにかくハチャメチャで、ところどころグロいユーモアセンスは、ほかのティムバートン作品でも見られない、あの時代の勢いならではの世界観。
そして最強なのはおばあちゃん!まあこれこそ、人類の真実かもしれません。

好き嫌いは分かれるかと思いますが。いずれにせよ映画史に残る名作といっても、過言ではないでしょう。
スパイ映画『キングスマン』で人の頭が吹っ飛ばされるシーンや、続編の『キングスマン:ゴールデン・サークル』で、エルトン・ジョンが本人役で出演しているところなど、この作品へのオマージュではないでしょうか。

古い映画と侮るなかれ!火星人の悪ふざけにどうぞお付き合いくださいね。

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