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Series:18「X-ファイル」season1(1993)-(2001)

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SFドラマの代名詞といっても過言ではない、伝説のシリーズ「X-ファイル」。
超常現象を扱い政府の陰謀論まで持ち出す、一種キワモノでありながら。その壮大なスケールとキャラクター設定の秀逸さで、多くの視聴者を虜にしました。

日本人にとっては、職場の上司であっても「下の名前で呼ぶ」のがアメリカ文化!と思っていたところに、主演の二人が「モルダー」「スカリー」と名字で呼び合うのも、かえって新鮮だったのでではないでしょうか。

私自身は学生時代、地上波での再放送などもあり、なんとな~く見始めたのですが。
徐々にその奥深さに魅了され、これはきちんと最初から見なければ!と思い立って、レンタルビデオ店へ駆け込んだものです。
まあ「はまった」というよりは、謎が多すぎるので順序だててスッキリさせたいと感じたことが発端だったように思います。で、スッキリしたのか?
むしろ見れば見るほどモヤモヤが深まることに

しかしそれこそがこのドラマの魅力であることを、徐々に得心していきました。
いずれにせよ、映画『X-ファイル ザ・ムービー』(1998)が公開されることを知った時には、急いでそれまでのドラマシリーズをコンプリート。喜び勇んで映画館に足を運んだあたり、シリーズを追うごとに大ファンになっていたのは確かです。

FBI捜査官フォックス・モルダーは、通常の捜査で解決できなかった事件を扱うX-ファイル課にただ一人所属する人物です。
科学での解明が不可能、というよりオカルトすぎて見向きもされないような事件を扱う(あるいはわざわざ探し出す)変わり者の彼は、地下室の一室をあてがわれ冷遇されている状態でした。
実は彼には、子どもの頃に失踪した妹サマンサがおり、その行方を捜すことに人生を捧げているのです。そして彼女を「宇宙人にさらわれた」と推測する彼は、その証拠を手にするためにも。あらゆる超常現象を調べることにのめりこんでいったのです。
そんな信念を貫き通す彼の様子は、一部の組織から煙たがられることに。

そこで医師免許を持ち科学者を自認するダナ・スカリー捜査官が、パートナーとして送り込まれることになりました。彼女の真の目的はモルダーの監視をすることです。

目を輝かせて非科学的な「事件の真相」を語る彼を、はじめは白い目で見ていたスカリー。
しかし敬虔けいけんなクリスチャンでもある彼女は、モルダーの「信心」にも似た真実を追い求める純粋さと揺るぎない決意に、次第に心を動かされていきます。
やがて捜査官としての彼の優秀さにも気が付き、率先して捜査の手助けをするようになります。しかしあくまでも「自分の目で見た事象しか信じない」強硬きょうこうな姿勢を崩さず、モルダーの提唱する非科学的な説を跳ね返し続けます。

実際にUMAなどに対峙するモルダーに対し、あと一歩のところで「それ」を目にしないスカリーがすべてを否定する状況は、見ていてイライラします。
それでもその信念の強さに尊敬を抱くようになったスカリーが、自分を送り込んだ組織に歯向かってでもモルダーを支持し始め。二人の間に互いのためならば命を投げうつのもいとわない強い「」が育っていく過程は、もはや極上のヒューマンドラマの様相を呈していきます。

シーズンが進むにつれ最強の「バディとなっていくも、当初は男女間を匂わせるような要素は一切ありません。それはそれで素敵な関係性でした。
ちなみにその時分よしもとばななが著書の中で、男女の友情に対し「モルダーとスカリーのような」という表現を使っていたのを読んで、ニヤニヤしたのを覚えております。

しかし聡明な美男美女ですから、視聴者は次第に彼らの「恋愛」を所望します。
さすがに少しずつ二人の間に「友達以上」の空気は漂ってきますが、頑ななまでに「仕事上のパートナー」の距離感は保ったまま、つかず離れず。
そんな中ついに!
たまたまニューイヤーのカウントダウンの場に居合わせた二人。
モルダーが微笑みながらスカリーにキスを…。

カウントダウン・キスの習慣よ、ありがとう!
快哉かいさいを叫んだファンが世界中に何万人いたことでしょう。
私はとりあえず「ギャー」とわめきながら何度も巻き戻しました(もちろんビデオですので)。
なんならドラマ・映画で一番胸キュンした瞬間かもしれません。

とまあそんな二人ですが、シーズン8モルダー役デイヴィッド・ドゥカヴニーが降板『ターミネーター2』で適役として知られるロバート・パトリック扮するドゲット捜査官がその後釜となった時には、ファンというファンが驚愕したはずです。そのドゲットが怪奇現象に懐疑的であり、すっかり詳しくなったスカリーの方がモルダーの立場になるのはなかなか面白かったのですが。
さらにスカリーの代わりとなって、モニカ捜査官が彼のパートナーとなった時には、もはや「X-ファイル」じゃないじゃん!という状況になり。見るのをやめようかしら…と逡巡しゅんじゅんしましたが、半分仕方なく義理で視聴を続けました。
しかし意外にも、このシーズンがカンフル剤の役割を果たし(私もシーズン半ばから好きになりました)。無事戻ってきたモルダーを迎えた、最終シーズンへのよい助走となったのです。

基本1話完結(毎回未完結)ながら、謎の男シガレット・スモーキング・マンの存在が常に背後に絡みついてきます。そして内部告発者ディープ・スロートが、モルダーに米国政府が極秘裏に異星人を捕獲し殺害した事実を伝え殺されます。
宇宙人の存在を確信したモルダーは、やがて「宇宙人と政府との隠された関係」に肉薄していくのことで、次第にその身を危険にさらすようになります。

そんな長期にわたる政府との確執もあり、サマンサの存在が何度もフューチャーされるシリアスなミステリーをベースにしつつ。
SFだけでなく、コメディタッチやファンタジー要素の強い物語、スカリー演じるジリアン・アンダーソンが監督をする回など、意外性に満ちた様々なジャンルが織り交ぜられ。これだけ長いシリーズながら、中だるみやマンネリはほとんどないのはお見事です。

さらにモルダーとスカリーの上司スキナーが時間をかけて味方となったり、モルダーの協力者で準レギュラーローン・ガンメン」のオタク3人組がいい仕事をしたり、一回きりかと思っていたキャラクターが時間を経て再登場したり。
脇役たちの幅も広がり、スルメのごとく味わい続けられる作品です。

といったものの、ファンゆえに苦言を呈するとすれば。
ドラマシリーズが一度終了した後の映画2作目『X-ファイル:真実を求めて』(2008)までは愛すべき一連の物語でしたが。
度完結したシーズン9から10年以上経って公開された、シーズン10。ちょっぴり期待してみてしまいましたが、これに関しては残念ながら完全なる蛇足ではないですか。ファンだからとりあえず続きがあれば喜ぶわけではないです。11にいたってはもはや見てもいませんが。

各シーズンのエピソードごとのあらすじ、ネタバレ、感想。
加えてトリビアもわんさかネットで紹介されていますので、内容については私からはこのくらいで締めておきたいと思います。
いつ見始めても遅いことはありません。非現実的なオカルトしかり、さもありなんな政府の陰謀渦巻く、Xファイルがひも解く世界を。

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