891619611

Series:15「THE BLACKLIST/ブラックリスト」season1(2013)-10(2023)

物語冒頭、一人の男がFBIに出頭します。
FBIの10大最重要指名手配犯の一人、レイモンド・レディントン(通称レッド)でした。
「犯罪コンシェルジュ」として財を成し、犯罪帝国を築き上げた人物です。

その彼が、自身の免責と引き換えに、自分が関わった凶悪犯罪事件の犯人情報提供を申し出ました。
その条件として、新米捜査官であるエリザベス・キーン(通称リズ)捜査官を連絡係として指名しするのですが、彼女にはその理由がわかりません。
FBIでは賛否両論の声が挙がりましたが、最終的に貴重な情報の効果をとるという結論に至りました。
そしてレッドのもつ凶悪犯罪者情報「ブラックリスト」に基づき、事件解決を目的とするFBI特別チームが結成されます。

レッドを演じるジェームズ・スペイダーは、中肉中背・禿げ頭の中年(なんなら初老)男性
ぱっと見、大物犯罪者には見えないのですが、さすがは実力派俳優です。
知的で冷酷な輝きを見せる鋭い眼光。何事にも動じない冷静沈着さ。物腰の柔らかい紳士的なふるまい。
回が進むごとに段々と「レッド」のカリスマ性が感じられていきます。

ドラマは基本一話完結型
その在り方としては、日本のシリーズ化しているミステリードラマや刑事ものと似ているでしょうか。
しかしその内容はよりスケールが大きく、一話で映画が一本できそうなものも

犯人に皆目見当がつかない事件や、なんならまだ露見していない隠れた犯罪から、レッドが一つをピックアップ。
チームに首謀者のデータを与え、その犯罪者のコードネームがタイトルになることが多いです。
例えば死体隠匿いんとくを請け負う「シチューメイカー」。その意味が分かるとぞっとします。

古典的なものからトリッキーなものまで、多岐にわたる犯罪者たちのその手口。最新科学による隠ぺい、職人技としかいえない技術の数々、見事な連係プレー。
そしてそれらをやりとげる、犯罪者の多様なパーソナリティも見どころです。
独立した一つ一つの犯罪でありながら、シーズンが進むごとにそれらが絡み合ったり、同じ人物が介在してきたり。

そんな犯人逮捕に奔走するチームのメンバーは、いうまでもなく皆一流の捜査員
チームリーダーで高潔で人格者のクーパー筆頭に、少々独善的でだが仲間思いのレスラー。IT技術では右に出るものがいないものの少し気弱なアラム。
しかしそれぞれが個人的な悩みを抱えていたり、時には誤った選択で窮地に立たされたり。非常に人間味あふれる面々です。

そして協定通り協力はするものの、最終的にレッドの利益となる展開も多く、彼に振り回され翻弄されるメンバーたち。
それでも次第に友情が芽生え、仲間となっていく過程も見逃せません。

それにしてもレッドとリズの関係が、シーズン半ばまでなかなか判明しないのには、歯がゆい思いをします。
しかしマンネリかな?と思う頃合いに、主要キャラクターに大きな転機が訪れたり、新たな人物が加わったりすることで飽きさせません。

人気キャラのスピンオフ『ブラックリスト リデンプション』も同時並行で放映されたのですが、こちらは思ったほど振るわなかったようですね。
実は私も見たのですが、3話ほどでフェイドアウトしました。リズの夫トムはじめ、登場人物は好きなメンツだったのですが、やはり本編に比べると見劣りがしてしまいました。残念。

個人的に一番地味な風貌のミスターキャプランがキャラとしてもっとも惹かれました(「好き」とはちょっと違うのですが)。女性なのになぜ「ミスター」なのかという理由も併せて、実は大きな謎の一端を担う重要人物です。
ちなみに一番好きなキャラは、途中から加わった捜査官サマルでした。クールビューティながら、闇を抱えている感じが魅力的。

それにしても主役のはずながら、リズは好きになれませんでした
まあ実際、主役のはずなのに人気がなかったようで…。その行く末は衝撃ながら致し方なかったのかもしれません。
ただシーズン内で、みんなから離れて一人山奥の山荘で過ごす時期がるのですが。そこで身のほど知らずの強盗団に狙われ、返り討ちにする回に限っては大好きです。

レッドに惹かれ忠誠を誓う者が後を絶たない中で、多くの裏切りにあうのもドラマの醍醐味でしょう。
始めは盲目的に彼に従っていた側近のデンベですら、時にレッドに懐疑的になるのも、逆にいいですね。
最後まで犯罪者でありながら、犯罪者をどこかで憎んでいるレッドの落としどころ。
その生きざまは、やはり芯が通っていると言わざるを得ません。

長いシーズンですのでたっぷり楽しめます。
刑事ドラマはもちろん、むしろ犯罪者側の視点も堪能したい方は、ぜひ視聴してみてください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました