これまた伝説的長期シーズンドラマをご紹介。
アクション・ホラー・サスペンスの位置づけですが、ファンタジー&ヒューマンドラマの要素も強いですね。そして特定の家を持たない主人公たちの、ロードムービー仕立てとなっています。そんな彼らの移動を助けるのは1967年モデルのシボレー・インパラ。かなり渋いクラシックカーで、このドラマのアイコンともなっています。
主人公は兄ディーンと弟サムのウィンチェスター兄弟。どちらも非常に男前です。
サムの生後間もなく、母メアリーが超常現象によって命を失ってしまいます。それをきっかけに、残された父ジョンと息子たちで、魔物や妖怪などを退治するハンターとして活動を開始。
サムより4歳年上のディーンは、サムに対し何かと兄貴風をふかし、粋がった少年でした。しかし父親から「弟を護れ」と言われたことを深く心に刻んでおり、弟のためならいつでも命を投げ打つ覚悟をもっています。ハンターの仕事にも誇りを持っており、率先して戦い腕を磨いていきました。
一方サムは、この生活に疑問を抱いておりました。父親からハンターとしての訓練を受けたものの、やがて稼業を離れて大学へ進学。しかし父親が行方不明になったことと、恋人のジェシカが母親と同じように悪魔に殺された悲劇を受け、ハンター生活に戻ることになります。
シーズン当初は基本的に一話完結で、毎回新たな「魔物」と戦うお話です。ゾンビ、人狼、鬼など様々な敵が現れますが、それぞれとの戦い方を二人は父から、あるいは他のハンター仲間から教わっており次々と退治。それらと戦う武器も一通り持っており、肉弾戦にも耐えられる強靭な肉体を有しているため、連戦連勝といったところでしょう。
吸血鬼は本当に多くて、しょっちゅう狩ることになるのですが。それゆえにその中には、人間に害を及ぼさないことで共存していくことになる「群れ」なども現れます。幽霊もとにかくしょっちゅう戦う羽目になるのですが、こちらは基本的にすべて悪霊なので、容赦なく狩りまくります。
悪魔も数多く登場。母とサムの恋人を殺した不倶戴天の天敵「黄色い目」の悪魔をはじめとして、単純に欲望のままに行動する小物の「悪魔」から、「取引」を通じて、半ば商業的なやりとりを交わす者、時に友情を築くに至る相手まで。様々なパーソナリティを有した悪魔たちが、物語全般を通して重要な役割を担っていきます。かなり人間臭いものも登場しますが、それもそのはず。そもそも悪魔は、そのほとんどが元は人間であることも判明していきます。
そのほか魔女にはさんざん振り回されますし、段々とこれら異形のモノの種類も多様化して、おっさんのキューピッドやら、イマジナリーフレンドなどファンタジー色の強いものも。ある意味最強のトリックスターなどには、何度もひどい目にあわされます。
また、父親のハンター仲間でもあったボビーがメンターとなり、時には父親代わりとなって彼らを導いていきます。
ハンターたちはみな信念に基づき魔物退治をしており、それによって賃金が発生しているわけではありません。よって、それぞれが詐欺まがいのことをして収入を得ています。
さらにハンターの仕事に際し、FBIなど身分を詐称することもあるため、多くのハンターたちの援護をする「基地局」的な役割を担うボビーは、ハンター仲間たちから厚い信頼を得ています。
ディーンは女好きで多くの女性と気軽に関係を持ち、ハンバーガーとビールが好物という、単純にしてチャラいキャラクターです。しかしハンターとしての強い使命感をもっているディーンは、仕事に対しては非常にストイック。さらに弟ディーンをからかいつつも、実際は溺愛しており「サミー」の愛称で呼び、誰よりも大切に思っています。
サムは非常にまじめな上に、恋人を亡くしたことから女性とのつきあいにかなり消極的。シーズン序盤、心を許した女性が実は魔物で、狩らなければならなくなる不幸も。ゆえにディーンの軽率さを非難するような姿勢も見せます。しかしディーン自身も兄の愛情を十分認識しており、逆に兄のためならば何でもする覚悟です。
とにかく長いシリーズですので、単純な「魔物退治」の当初から、次第に背景が複雑かつ壮大になっていきます。物語のテイストも変容し、シリアスな回からコミカルな話まで多岐にわたることに。
さらに兄弟は何度も死にかける、のではなく実際に何度も死んでしまうのですが。なぜか何度も生き返えさせられてしまいます。彼らが超人なわけでなく、何かしら彼らを擁護するモノがいるのです。
そうして何度も死んだ彼らは、地獄や煉獄(天国と地獄の中間、魔物だらけ長期間過)で何度も過ごすことにもなります。時間の流れが違うため、何百年も暮らすことにも。通常なら精神的に持たないところですが、彼らは兄弟の強い絆によって、超人的な精神力を発揮します。
ただ正直途中から、また死んだの?また復活?こんどはディーン、またサム?次はボビー…とへきえきしなくも。
登場人物もかなりの数になっていきます。そのうえで悪魔と同じくパーソナリティが多様な天使や死神、預言者、めちゃくちゃ恐ろしいリヴァイアサンなども主要キャストに加わり、はては神様の登場まで。「賢者」なる秘密結社の存在まで明らかになり、ハンターの枠を超えた組織とあらゆる人物も物語の核に。
時間がたって再登場するキャラクターも少なくなく、私のように記憶力の弱い視聴者は、おさらいをする必要も出てきます。ただし好きなキャラが忘れたころに再登場すると、めっちゃテンション上がります。
とまあこんなドラマを飽きずに見続けられるのは、ウインチェスター兄弟はもちろん、その他すべてのキャラクターの魅力、そして俳優陣の実力のおかげでしょう。
最後はしかるべくして納得のラストです。そして最終回には、番組制作スタッフも一堂に会する、圧巻のシーンもあります。最後までしっかり見届けてこそ、このドラマの真髄が伝わります。
とりあえず最初は気楽に妖怪退治のドラマとして。やがて人間界を揺るがすスケールの大きな世界観を味わってみてください。
Series:19「スーパーナチュラル」season1(2005)-15(2020)

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