老舗漢方薬局4代目の漢方薬剤師の方の著書です。
私は子どもの頃すぐに熱を出し、発熱するとぜんそくの発作が起き、持病の鼻炎アレルギーも相まってて夜じゅう苦しんでいました。普段から寝つきが悪く眠りが浅く、思えば何らかの負の連鎖が起きていたように感じます。
大人になってからは慢性的な肩こり、それに付随する片頭痛。初潮を迎えて以降ずっと生理不順で、生理痛は年々ひどくなっていました。さらに低気圧頭痛、花粉症、40歳を過ぎてからは更年期の症状と思われるものまで。
不調は年を追うごとに増えていきます。多種多様なサプリメントを服用し、体にいいといわれる食材を取り入れ、体の不調を整えために色々試行錯誤してきました。
その過程で西洋医療の「対処療法」に疑問を抱き、東洋医療に興味をもつようになりました。
しかし漢方などは高額(保険適用外)。せいぜいマッサージと併用した鍼灸治療を定期的に受けるくらいではありましたが。
東洋医療は「即効性」という点では西洋医学に及ばないこともあります。しかし、長期的に体にアプローチしていく「根本治療」はもとより、そもそも「未病」に近い状態から予防的な役割に関してはアドバンテージがある、とも感じていました。
この本は実際に、通っていた鍼灸師の先生におすすめされたものでもあります。
人間の身体をめぐる血液。その流れが滞ったり、流れている血液自体に問題が起きたりすれば、体に不調をきたすであろうことは想像に難くありません。
とはいえ、タイトルの「血流」が「すべて解決」とは言い過ぎではないか?と正直感じなくもありませんでした。
しかし西洋医学、漢方医学、心理学の3つの視点からの総合的なアプロー チをしている著者の感じる「不調の根本」が、本書を読み進めるにつれ非常にわかりやすく伝わってきました。
漢方でいう「血」とは、「血液」そのものだけでなく「栄養やホルモン」なども指しています。
総じて結論を述べれば「血」の内容をよくすることで正常な「血流」が生まれ、自律神経が正常となり、身体的コンディションが整い、心の健康も保たれます。
血流を改善し体調を根本から整えるためには、「血流を増やす」ことを筆者は提唱しています。
とはいえもちろん、輸血など外から血を補うというわけではありません。
血流を増やすために筆者がまず勧めるのは、「たんぱく質を摂る」「睡眠時間を確保する」といった、当然と言えば当然の「血液の内容をよくする」ことです。
それに加えて「空腹の時間」を設けるための「夕食断食」について述べています。
夕食を抜くことにより、胃腸を休ませ、新たな血液を作り出すことができるというのです。
「夕食を抜く」のは大方の人にハードルが高いはずです。しかし私は長年のダイエット経験を通して、その効果のほどは身に染みているところです。そこで本書の説明に沿って実践してみました。
毎晩の晩酌とおいしいおつまみを楽しみに日々を送る私にとって、もはやそれは生きがいに近いものです。
そんな私は筆者が提案する「1週間夕食抜き」を実践することにいたったのは、この本の内容が実に理論的で納得できたからです。
意外と無理なくできました。「やるぞ」とスイッチを入れてしまえば、あるいはただの習慣なので。
その1週間で体重が落ちた(2㎏ほど)のは言うまでもありませんが、なるほど、目覚めがよくなりました。実際に血流が増えたのか?までは実感できませんでしたが、一度体が「整った」気はします。
結局おっしゃっていることは「健康的な日常を過ごしましょう」というだけの話かもしれません。
しかし改めて、なぜそうしたほうが良いのか、再認識することができます。
文字数も少なく非常に読みやすいので、なんとなく「不調」を感じている方は、なんらかの改善の「ヒント」を得られる一冊だと思います。
「読み物」というよりは、ちょっとした「気づき」を得られる大人の処方箋。
軽い気持ちで、目を通してみてはいかがでしょうか。
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