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Series:1「セックス・アンド・ザ・シティ」season1(1998)-6(2004)

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言わずと知れたガールズドラマの金字塔。私ごときがあえて紹介するまでもないのですが、やはり大好きなドラマなので!

舞台はニューヨーク。登場人物はみな成功している4人の30代白人女性
ファッションやブランド品をこよなく愛し、仕事に恋に大忙しのキラキラウーマンです。
そんな一見お上品なバリキャリたちが、定期的にブランチをしながら赤裸々なセックストークを展開していくのが見どころなのは周知のところ。

少々本題をそれますが、最近はマイノリティーへの配慮から、主要な登場人物が白人のみ・異性愛者のみだとやたら非難されがちですよね。このドラマも折に触れてその対象となっています。
しかしいかんせん20年前のドラマですから、今さら「異性愛者で白人女性しかいない」と指摘するのはナンセンスでしょう。同じく古き良き定番ドラマ「フレンズ」も、折に触れてやり玉に挙げられていますが、こちらも焦点を当てるべきはそこではないと思いますが。
そもそも私は個人的に、わざわざ主人公の親友に黒人かゲイを設定する最近のドラマは、逆にアピールでしかないと思うのですが。
まあマイノリティ関連の問題は、単一民族の日本人には理解が難しいところもありますけどね。
もちろん軽視しているわけではありません。日本国内でも性同一性で苦しむ大勢の方がいらっしゃるでしょうし、昔からの同和問題など差別の歴史ももちろんあります。
しかしいちいちドラマの設定に嚙みつく前に、もう少しその物語の趣旨に目を向けていただきたいですね。

本題に戻ります。
このドラマが何より画期的だったのは、そのセックストーク以上に「100%女性目線」で「女の友情」を主軸としている点だと私は思います。これまた性的マイノリティの問題に抵触しそうですが、いったんそこは目をつぶってください。
私自身がこのドラマと出会ったのは30歳になった年です。いい意味でいろいろリアルでした。
ある意味庶民とはかけはなれたニューヨークのセレブ女性といえど、30代の女性の恋愛観や葛藤は大いに通じるところがあります
なかなか良い出会いに巡り合わない時に「30代の独身男性は絶滅したのかしら?」とぼやく彼女たちに、多くの独身女性はうなずいたはずです。
そしていざ出会いがあっても、ちょっとしたことで男女の価値観のズレに悩まされたり、同棲したり結婚に向かっていたりしても理想通りにはいかず。夢と現実のギャップに何度も翻弄されてしまう。

主人公キャリーのナレーションで物語は進んでいきます。
セックスコラムニストとして新聞に連載もつ彼女は、自分の周りで起きた出来事を基軸とした記事を書いています。その内容の語りや実生活の中で、自身に加え親友のミランダサマンサシャーロットの気持ちもナレーターであるキャリーが代弁するのですが。
このナレーションで、物語内の男性側の考えについては一切触れられません
突然冷たくなったり、前触れなく去ってしまったり。なぜ?と思う男性の行動について解説はみじんもないのです。
始めは物語として少しモヤモヤしますがそもそもキャリーが彼らの胸の内を知らないのですから、語りようがないのです。男の気持ちは女にはわからない。それってリアルじゃないですか?

だからこそ、この物語の中ですべての女同士は共感し結託します。もちろん、男性をめぐってのいさかいは起きますが、よくある女の嫉妬やいがみ合い・足の引っ張り合いは皆無というのがいい。
女性はあくまで女性の味方というスタンスが気持ちいいのです。

サマンサが豊胸手術を考えていた際。たまたま見かけた美巨乳のバーテンダー「間違っていたらごめんなさい、どこの病院かしら?」と聞いたところ「○○先生がベストです。チップも増えました」なんのてらいもなく、情報を開示してくれます
一見いちげんの他人であろうが、女性同士は助け合って当然という世界観が最高すぎ。

逆に50代のイケオジといい感じになるキャリーに、彼を狙っていた50代の女性上司「こっちのプールは狭いの。入ってこないで」痛ましいセリフを吐くシーンがあります。
しかしこれも逆に、女同士の信頼感あってのやり取りではないでしょうか。

主要キャラ4人は互いよき理解者でありながら、時にケンカもします。
性に奔放なサマンサに、お姫様キャラのまじめなシャーロットが反発する回が印象的でした。

シャーロットになじられご機嫌斜めのサマンサは、同じタイプのイケイケ女性と意気投合して、男性2人組と4人でと飲みに行くことになります。しかし悪乗りしたその女性が、バーのテーブルに潜り込んで男性たちにフェラをおっ始めました。
多くの男性と気軽にセックスを楽しむサマンサでしたが、彼女の感覚的にこれはアウト!でした。そこに「サマンサは、自分の中のシャーロットに気が付きました」というキャリーのナレーションが流れます。
一方シャーロットも、お上品なセレブ友達とお食事会の最中に、ちょっとした下ネタを盛り込んだところ「はしたない」と総スカンを食らいムッとします。
そこへ「シャーロットの中にもサマンサがいました」というナレーションが流れ、その後二人はお互いを認め合って仲直りをします。

さらにシャーロットが理想の結婚相手に巡り合ったとき、なんと彼が勃起不全であることが判明します。得意分野ゆえに、誰よりも親身にその相談にのるサマンサ
やっとベッドインが叶った彼女が「やったわ」とすぐさま電話で報告すると、無言でガッツポーズをとるサマンサ。このドラマらしい友情がしみます。

ドラマ終了後の映画の中ではありますが、キャリーが「私には3つの鏡がある」と親友3人のことを表現しています。自分が何かに悩んだときに彼女たちに相談すれば、その表情を見て自分のなすべきことがわかるといった意味です。
そんな絶対的な信頼感で結ばれた彼女たちの関係性は、いっそ運命の男性との出会い以上にミラクル。

シーズンの最後、恋人と幸せでない日々を過ごすキャリーを、親友ミランダが元カレビッグに連れ戻すよう促したとき「go get our girl」と言います。ビッグに対してyour girl」じゃなくて、あくまで「私たちの」というところがいいですよね。

1話30分弱でさくさく見進められるところも、忙しい現代女性に合っています。逆に延々と何話も見続けてしまうかもしれませんが。
短い話なのに毎回、それぞれのおつきあいする男性が次々と変わるので、展開は非常に目まぐるしいです。しかしそのテンポもはまると、いっそ楽しめますね。
そしてそれぞれが、その中から特別な一人に出会っていく過程も刺さります。
男性と自由な性生活を楽しみたいサマンサも、2~3度本気になるのですが。その際「私もみんなと同じ病気になっちゃった」と悔しがる?など、安定した恋人関係に最後まで抗おうとする姿勢も、一つの生き方として見どころかも。

キャリーが成功するまでの前日譚となる「マンハッタンに恋をして ~キャリーの日記~」や、長くあった続編案がついに実現した「アンド・ジャスト・ライク・ザット…」などもありますが、私はどちらも見ていません。
多くのファン同様、特にその続編はずっと待っていたのですが。大好きなサマンサが出演しないのと(一話特別出演はあったようです)、そもそも共演者に不仲説があるというケチがついてしまったので…。結局いつか見ちゃうかもしれませんが。

まあ私にとってこのドラマは、このシリーズと映画2本で完結しているものだと思っているのもありますね。
いずれにせよ、もし未見の方がいましたら、ぜひ一度(30代以上の女性は特に)鑑賞していただきたい作品です!


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