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Series-2「センス8」season1(2015)-2(2016)

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これまでどのくらいの海外ドラマを見たことでしょう。コメディ、ファンタジー、ヒューマンドラマ…あらゆるジャンルにそれぞれの魅力があり、いろいろな世界へ私をいざなってくれました。
その中でこのSFドラマ「センス8」は、文句なしにナンバーワンの作品です。

もがき苦しむ謎の女性が一人。
彼女一人かと思えば、次の瞬間そばに誰かがいる。その「誰か」に語り掛けられ、また一人になる。そして銃口を口にくわえ、その引き金を引く。

そんな彼女が自死の直前、カフィアス、サン、ノミ、カーラ、ライリー、ヴォルフガング、リト、ウィルという世界各地の異なる文化圏にいる赤の他人8人を、精神的繋がりをもつ「感応者」のクラスター(群体)として目覚めさせたことから、物語は始まります。
タイトルはこの「8人の感応者」「sensate(知覚する)」をかけたものになります。

精神的に繋がった8人は、どれだけ遠くの地にあっても別の母国語を繰りながらも、意思疎通を図ることができる仲間となります。さらに知識や技術、互いの能力を共有することができることも判明します。
しかし前触れなく自分のいる場所と違う景色が見え、見知らぬ他人とそのビジョンを共有。片やヒンドゥ語、一方スワヒリ語などであってもなぜか会話はできる。それでも始めは、互いに何が起きているか理解できず途方に暮れるばかりでした。

それでも折に触れてつながる度に、それぞれが心を許す相手を見つけていきます。そして互いのトラブルを助け合うように。
はじめは8人の中でも気の合う相手とだけ心を通わせますが、やがて全員が全員を仲間として受け入れていくようになります。その過程は最高の友情エンターテインメントです。

手掛けるウォシャウスキー姉妹は、かつてはウォシャウスキー兄弟として、かの『マトリックスシリーズ』を手掛けたお二人です。
トランスジェンダーだということはうっすら知っていたのですが、性適合手術を受け、現在は姉妹として活躍していることまでは存じ上げていませんでした。

8人の1人ノミ(「Know me」から自分で名付けた名前)はトランスジェンダー女性の俳優さんが演じるトランスジェンダー女性で、物語の中では女性の恋人と幸せな日々を過ごしています。しかし優秀な息子だった彼女の変貌を受け入れられない、毒親との関係に苦しむ背景も潜んでいます。
またメキシコの人気俳優リトは、同性愛者であることボーイフレンドの存在をひた隠しにしていました。しかし共演女優にバレたことで彼女と親友になり、感応者の仲間にも自身の秘密が共有されることで、心の重荷を下ろしていきます。
最近のどの作品にもみられる、性的マイノリティに「配慮した」付け焼刃の演出でなく、実際に彼ら・彼女らのリアルが描かれているのがさすがです。

物語冒頭は、はっきり言って視聴者側も何が起きているかまったく理解できません
いきなり自殺シーンがグロかったり、ノミと恋人のペニスバンドを使った生々しい性描写があったり。すぐに作品に入り込める人はまれでしょう。
主人公自体8人もいる上に、それぞれの友人や恋人など、登場人物が多すぎて混乱します。
それでも離脱しようと思わせない、見事な展開力がありました。
そして見進めるうちに、どっぷりと共感の渦に巻き込まれていくのです。

先ほどもあげたように、多分にエログロ要素があります。決して家族で見る作品ではありません。
しかし全体としては非常に美しい世界観となっています。世界中のあらゆる場所を舞台にしていますが、実際に現地で撮影をしているだけあって背景がいちいち壮大です。
例えばナイロビのアフリカ人カフィアスとソウルの韓国人サンが、話をしている間中互いのいる場所がクロスオーバーします。実際に両方の都市で同じ場面を撮って編集したそうですからすごすぎます。
同様にムンバイのインド人カーラがドイツ人のヴォルフガングとつながって、ベルリンの雪の中ではしゃぐ愛らしいシーン。もちろん両国で撮影したものですが、それぞれの町や国の景色が、それぞれの特徴をとらえた芸術的なカメラワークが交錯。その映像美はお見事!の一言です。

そして挿入される音楽がまたエモい!
ロンドン在住のDJライリーが「What’s Going On」を聴き始めると、世界中の8人みんなの頭の中でも同時にその曲が流れ出し、全員が強制的に鑑賞する羽目になり「Come on!」と笑いあうのも微笑ましい。
実は全員同じ日に生まれた彼ら。誕生日の日にそれぞれ異なる環境にありながら、一人のパーティの音楽を共有することになるところなども素敵です。

私が一番好きな場面は、ヴォルフガングが別のクラスターをもつ敵の女性対峙たいじしたところ。
そこに実際にいるのは1体1の二人だけれど、それぞれの仲間が7人ずつ後ろに控え、総勢16人がにらみ合っているシーンが実に圧巻です。
敵とはいえ、彼女もまたクラスターと強い絆で結ばれており、それぞれのクラスターが一体となって仲間を守ろうとするのが、シュールで最高。

そんなこだわった映像・演出のために予算を使いすぎたのか、このドラマはシーズン2で打ち切りの憂き目にあいます。しかしファンたちの熱心な働きで、120分の最終話が作成されました。
そんな経緯で、やっつけのラストだったらいやだな~と心配していましたが、この最終回も、これ以上ない最高の終わり方で締めてくれました。
現在3回ほど見返しておりますが、あ~また見たくなりました。4周目いっちゃいます!

映画好き・ドラマ好きなら、絶対に見て損はありません。これがためにネットフリックスに加入してもいいくらいです。ただただ自信をもっておすすめします!

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