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Series:7「シッツ・クリーク」season1(2015)-6(2020)

非常に高い評価を受けたカナダ発シットコムです。

日本人にとってなじみが深いシットコムといえば『フルハウス』『フレンズ』あたりでしょうか。
あの頃より、ずいぶん洗練されてきた印象ですね。
いずれにせよ、短時間で気楽に見ることができる点は、今も昔も変わりません

物語は大手ビデオチェーンを経営するセレブ一家が、ビジネスパートナーの裏切りで破産してしまうという、特に目新しくない不幸から始まります。
突然すべてを失った裕福な家族。残されたのは、その昔冗談で購入した田舎町Schitt’s Creekシッツ・クリークのみ

このSchitt固有名詞(町の名士の苗字)ですが、Shit(クソ)と発音が同じで、町の名前「シッツ・クリーク」は「クソの小川」という意味合いに聞こえてしまいます。
river(川)ですらない片田舎だし、まあだから悪乗りのジョークで買ったわけですよね。

この辺私はよくわからないのですが「町を買う」って、何を所有することなんでしょうね?
とりあえず彼らはさびれたモーテルの続き部屋を住居として与えられ、実業家だった一家の長ジョニーはモーテルの経営自体にも携わっていきます

金持ち一家の凋落ちょうらく古今東西大好物の鉄板ネタです。
この作品はもちろんコメディなので、その悲惨さではなく滑稽さを主軸に描かれていますが。

しかしドラマの大きな特徴として、この家族すべてが悲嘆にくれることなくひょうひょうとしている点が挙げられるでしょう。(もともと情緒不安定な母モイラは時々壊れますが)
「金持ちケンカせず」を地でいっていて、誰かをねたんだり恨むような、ネガティブな感情に流されることがありません

かといって天使のような達観した人間性ではなく、特に遊び暮らしていた子どもたち(といってもアラサーです)は、世間知らずで考えなしの行動をしがち
もちろん豪邸から安普請やすぶしんの二部屋に追いやられ、同じ部屋で寝起きする羽目になった、兄デヴィッド・妹アレクシスは文句たらたら
しかし、子どものようにケンカをする二人の姿は、なんとも愛らしい
そして裕福一家にありがちな、子育ては使用人任せだった両親は、そんな子どもたち相手に、しくも家族のきずなを感じていきます
そんな家族のやりとりや関係性は、号泣する感動ではなく、じんわり心の温まるほっこり加減が絶妙です。

そもそも父・息子を演じるのは本物の親子で、番組の制作者でもあります。太い眉毛がそっくりでチャーミング。
お父様は『花嫁のパパ』『アメリカン・パイ』シリーズでも活躍されたユージン・レヴィ。お顔をご存じの方も多いと思います。

そして息子ダン・レヴィは、物語の中でパンセクシャル(すべての性が恋愛対象)としての恋愛模様を披露しますが、ご本人もゲイであることをカミングアウトしています。
日本人から見るとLBGTQ問題を無理やり詰め込むドラマが多いですが、このドラマ内ではマイノリティを偏見なく受け入れていく世界観が、とても自然に描かれています
そこもこの作品の評価の高さにつながっているようですね。

女優として再起を図る母モイラは、『ホームアローン』お母さん役で有名な女優さんです。
知った瞬間「ケビーン!」と叫ぶ姿が脳裏によみがえりました。
モーテルで寝起きしようが、自分は「大女優」だというゆるぎない堂々さを演じる実力はおさすが。その姿はおかしくも魅力的です。

娘アレクシスは、最初はちょっと鼻につくお嬢様感満載。しかし段々とその素直さが前面に出てきて、前向きに成長する姿が応援したくなります。
演じられた女優さんは、これが出世作になったようですね。

脇を固める町の人々も、始めはいかにも無教養な田舎者という感じですが。
奇天烈きてれつな家族を受け入れる度量をみせる愛すべき面々であることに気が付きます。そしてそれぞれが徐々に、ローラ一家に負けず劣らずの個性を発揮していくのも見どころです。

コメディの位置づけですが、ホームドラマの要素の方が強いかもしれません。
見ていて優しい気持ちになれる作品です。
毎晩一話ずつ、のんびり鑑賞して一日の疲れを癒してみてはいかがでしょう。

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