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Book:9「深海のYrr」(2004)フランク・シェッツィング 著

本日は趣向を変えて海外作品をご紹介。
上中下巻3冊(現在は4巻に分けられているようです)にわたる長編海洋冒険小説で、ドイツ国内で200万部を超えるベストセラーになった作品です。

以前よりドイツ人はそのまじめな国民性が日本人と通じるとは思っていましたが。日本人以上に読書好きが多く、特に長編小説を好む傾向があるようですね。確かにぎっしり読み応えのあるこの作品は、活字中毒にはたまらないボリュームです。
さてそのお話の内容は…

ノルウェー海で無数のゴカイが、海底のメタンハイドレート層を掘り続けている奇行が判明した頃。
突如として多くの海の生物が人間に牙をむき始めました。昔から映画の題材となるサメなどでなく、小さな生き物が集団で害をなし始めたのです。

ゴカイによる大陸斜面の崩壊が起こり、ヨーロッパ北部の都市には30mを超える大津波が発生国レベルで壊滅状態に。津波の脅威は日本人には想像しやすく、読んでいて恐怖を感じるかもしれません。
逃げ惑う人々にはそれぞれの思惑が交錯し、登場人物たちのあらゆる人間関係も描かれています。

ついにアメリカが中心となって、世界中の科学者と共に異常事態の原因の調査が開始することになりました。その矢先、フィエステリア(魚などの外生寄生虫)を搭載したカニがアメリカの都市を襲います。海岸でいちゃつくカップルが襲われる描写など、めちゃめちゃ怖いです。

中東国による生物兵器テロ説など様々な憶測が飛び交う中、海洋生物学者ヨハンソン深海の知的単細胞生物による攻撃だという理論を展開。構想中にたまたまキーボードでたたいたYrrイールと名付け、一丸となって未知の生命体への防衛策を練ることに。

宇宙と同じくらい、神秘的で謎に満ちた「深海」が舞台となっている本作。
映画『アビス』でトラウマ的恐怖を感じた人ならば、設定だけで震え上がるはずです。
実際に深海へ潜るのはクライマックスの一瞬ですが、深海の奥底で地上にいる人類を脅かす知的生命体が存在すると考えるだけでゾクゾクします。

当時の科学理論に忠実に、実に理論的に構築されたストーリー。Yrrとコンタクトを試みる「未知との遭遇」の過程では、息をのむ展開が繰り広げられます。
Yrrと人間の関係性の落としどころも私はすごく好きでした。

軍人や世界中のさまざまな科学者たちが登場しますが、人物一人一人の描写も丁寧になされていて、その恋模様なども見どころです。
とにかく長い作品ですが読み応え十分、退屈はさせません。私は3日ほどで一気読みしました。
我こそは読書好き!SF好き!という方は、ぜひチャレンジしてみてください!!

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