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Movie:17「魔法にかけられて」(2007)

カートゥーン(漫画)と実写の融合した映画といえば、ロジャーラビットのそれから使いまわされてきた技法ではありますが。混在というより「それらの世界を行き来する」形としては、比較的先駆けの作品でしょうか。

本作は14分のアニメーションからスタートします。
おとぎ話の世界アンダレーシアに住むジゼルは「真実の愛」を夢見るプリンセス。そしてエドワード王子と出逢い、その日のうちに婚約。それはそれは典型的な、お姫様と王子様の出会いであり、アンダレーシアではごく自然な出来事
ジゼルはなんら疑問を抱くことなく、出会ったばかりの王子を受け入れるのですが。
女王の座を奪われることを危惧した王子の継母である悪い魔女ナリッサによって、別の世界に追われてしまいます。

意地悪な継母かつ悪い女王、そして呪い
ここまでは典型的ですが、その呪いによって飛ばされた先が、現代のニューヨークというのが意外とトリッキー。
そこから場面は実写となり、エイミー・アダムス扮するジゼル姫がニューヨークの街中に現れます。
見知らぬ場所、見慣れない風景。
戸惑うジゼルは、お城を見つけて駆け寄ります。しかしそれは誰が見ても張りぼてのお城。

そんな安普請のお城のドアを懸命にノックする彼女の姿を見た少女モーガンが、「お姫様がいる」と父親に報告。シングルファザーであり弁護士のロバートは、様子のおかしい、しかし真に困り果てているジゼルを、娘に請われるままに保護します。
彼女を本物のプリンセスと信じ母親のように慕うモーガンに対し、彼女のプリンセス然とした言動に戸惑うロバート。しかしもともに過ごすうちに、そのピュア迷いのない清廉さに、次第に心を奪われていくのです。

とにかくエイミー・アダムスがスーパーかわいい。
『ナイト ミュージアム2』で、世界初の女性パイロット:アメリア・イアハートを演じるなど、スイートな印象はあまりない彼女ですが、この作品ではリアルお姫様
アニメからそのまま出てきて違和感のない、非常に透明感のあるキュートさだけでも、この映画は大成功と言えます。
『美女と野獣』以来の、CG技術に偏ってきたアニメ制作に抗うように、往年のアナログなアニメバージョンを起用しているところも味があるし、実写とのギャップもいい感じ。

実写」の世界にありながら、ジゼルの「アンダレーシア」での能力(?)は健在で、ミュージカル調に歌い出せば、ハトやネズミ、はてはゴキブリまでも彼女の意のままに踊り出し、手助けをします。
新しいドレスが欲しい!とカーテンに、典型的「カトゥーン」さながらドレス型の切り込みを残し、小鳥たちと歌いながら裁縫する様は、完全にネタながら愛らしい。
遅ればせながら、王子様らしくジゼルを救いにやってきたエドワードは、さらに実写の世界で浮きまくり翻弄され、完全にもてあそばれる挙動もご愛敬。

実はロバートには、5年来のガールフレンド:ナンシーがいました。
彼女はNYのザ・バリキャリで、当然リアリスト。突如現れたジゼルに不信感とライバル心をむき出しにします。
しかしジゼルの手助けによる、ロバートのロマンティックな演出を喜ぶなど、素直で乙女な部分も。
とはいえその賢さゆえに、次第にロバートの心が揺れ動く様を感じ取り、悩むことに。

ニューヨークでの生活になじみ、ロバート父娘と心を通わせるうちに、ジゼルはずっと信じていた「お姫様と王子様」のあり方に少しずつ違和感を覚えるようになります。
そして新たに湧き出る感情に戸惑いつつも、それに対してどこかで喜びを感じ、従来のプリンセス像に反する「冒険心」を募らせていきます。
果たして、彼女の本当の「エバーアフター(めでたしめでたし)」とは。

突飛なミュージカルの完成度が最高で、ファンタジーファンならその音楽だけでも楽しめます。
始めの「お姫様」然としたジゼルも超かわいいのですが、モーガンのアレンジで「現代風」にコーディネートされた姿も、それはそれはかわいい。

ディズニーアニメのプリンセスが、現代のニューヨークに現れたら?
大人の女性こそ、ぜひプリンセスの気持ちで!彼女の活躍を応援してみてくださいね。

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