ある昆虫学者の男が迷い込んだある村。
ひょんなことから、砂地にある家で一泊することに。
ところが翌日、その砂地から出られないことに気が付くのです。
その家で村の女性と生活を共にしながら、村人に砂を除去する作業を強いられる謎の監禁状態に。
始めは強く脱出を望みながらも、次第にその状況に馴染んでいき…。
高校生の時、読書家の友人にすすめられて手にした1冊でした。
「とにかく衝撃だから」彼女の言葉通り、読み終えた時のショックはいまだ鮮明です。
人のアイデンティとはこんなにももろいものなのか。
サリン事件で非常に優秀な人々が、いともたやすく洗脳されていたことが不可解だった当時の私は、この本でその答えを垣間見た気がしました。
数学の天才であり、東大医学部に進学するとびぬけた頭脳を有しながら、教授に「医者にならない」約束で卒業を許されたという逸話のある、筆者の描く狂気。
言わずと知れた氏の代表作で、映画化もされています。
もちろん私は、この後何冊か著書を読み漁り、どの作品でも「普通」の概念を揺るがされる、その世界観に酔いしれたものです。
いずれにせよ氏の作品1冊目として、これほどふさわしいものはなかったでしょう。
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