ワンセット物で登場する役者は7人という低予算作品ながら、世界的ヒットとなりカルト的人気を誇った本作。もはや古典といってよいかもしれません。
日本でも数年前にリメイクされるなど、名前くらいは知っているという方も多いでしょう。当然ながら続編や、前日単のシリーズ作品も生まれました。
目が覚めると、謎の立方体CUBEに捕らえられていた数人の男女。互いに初対面で接点の無い彼らは、誰が何の目的で閉じ込めたのかも分からないまま、ともに脱出を試みます。
そもそもこのオープニングからして秀逸です。
この映画は、スキンヘッドの男性がただ独りキューブの中で目覚め、事情も分からぬまま内部を移動しようとするところから始まります。ところがすぐさま、折り畳み式になった網状のワイヤーナイフの罠にかかり、サイコロステーキのようにバラバラに切り刻まれて死亡します。
映画CMにもなっており、初めて見たときには震え上がった人も多いはず。
この最初の数十秒間で「部屋にはトラップが仕掛けられており、むやみに動くと危険である」という設定を示唆しているところが見事です。
本編の登場人物たちは、前触れなく移動する複数のキューブの一つにいることに気が付き、脱出のために次々と別のキューブに移っていきます。ところがそれぞれのキューブに張り巡らされた、多種多様な死のトラップに翻弄されることになります。
次はいったいどんなトラップがあるのか。どういうルールで部屋は動いているのか。そもそも規則自体あるのか。
謎だらけの設定は、恐怖のるつぼそのものです。
実は彼らには、それぞれに謎を解くカギとなる能力がありました。それらを生かし、少しずつ謎をひも解きながら、命がけの行進を続けることになります。しかしそれぞれの思惑が絡まりあい、ともすれば利己的になり足を引っ張りあうことにも。
先の見えない展開に緊迫感が途切れることなく、その臨場感たるや半端ない。
自分がここに閉じ込められたら…と考えると、気が狂いそうなほどの恐怖にゾクゾクすること請け合いです。
そのストーリー展開もさることながら、私がこの映画を好きな一番の理由は、最後に「救い」があることころです。
昔からホラー映画は大体好きで、めぼしいものはたいてい見てきたのですが、なんていうのでしょう。最後に「誰も助からない」「誰も救われない」救いのない終わり方をするものが非常に多い。
それなりの帰着点をもって物語を完結させていればまだしも、結局みんな助からないのがホラーみたいなスタンスだとただ後味が悪いだけですよね。
その意味でもこの映画は、きちんと最後に希望を残す、一貫性の高い内容になっています。
助かる人物について、あるいは全員がそう感じるわけではないかもしれませんが、私はパニックの底に残った人間性・良心が救われたように感じました。
そして実は、この映画。本編終了後に短編映画『Elevated』が収録されています。
映画の余韻に浸ってエンドロールを最後まで見ていると、突如新たな物語が始まって驚きました。当時ビデオで鑑賞していましたので、危うく気が付かずに巻き戻すところでした。
この短編映画は、同監督による本作の原点とのこと。名前の通り、舞台はエレベーター。これがまた最高のパニックムービーです。これをそっと巻末につけるなど、実に気の利いた特典です。DVD盤には収録のないものもあるようですので、もしご覧になる方は、こちらがついていることもぜひご確認のうえご覧くださいね!
Movie:3「キューブ」(1997)
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