本日おすすめする「ARROW」は、DCコミックスのヒーロー「グリーンアロー」がもととなるアクションドラマです。
主人公は超能力を有するスーパーヒーローではなく、バットマンやデアデビル同様、心身を鍛え上げた超人です。
バットマンやアイアンマン同様、資産家でもあるため、その資金力もふんだんに使います。
しかし、そもそも彼がヒーローとなった過程が、少し変わっているといえるでしょう。
たとえばほかのヒーローは、普段はちょっとチャラいプレイボーイであっても、それはあくまで仮の姿。幼少期より内に強いヒーローイズムを抱き、ヒーローとなるべく人生のすべてをささげてきた人物たちです。
ところが、この物語の主人公オリバー・クイーンは、正真正銘のドラ息子。お金持ちのイケメンであることをカサに着て、女の子はより取り見取り。
しかも深い考えもなしに婚約者の妹サラと浮気をしていた彼。
そのサラを父親と一緒の船旅に連れて出るというゲスな行動をした挙句、その船が遭難するという最悪の結果に。
残された婚約者ローレライは、恋人と妹を予期せぬ形で失うことになります。なかなかひどい展開です。
しかしこの遭難でたどり着いた孤島「リアン・ユー」で、彼の人生は大きく変わることになります。
シーズン1の冒頭は、リアン・ユーの近くを通りかかった漁船に救助される形で、オリバーが故郷「スターリング・シティ」に帰還するところから始まります。
遭難から実に5年の時が経過していました。
夫と息子を失った母はすでに再婚しており、兄の支えを失った妹は薬物に依存。2人とも、どこかで捨鉢になっていたところがあります。
そこへ突如として生還を果たしたオリバー。
見た目もチャラく、責任感のなさを漂わせていた彼が、今や爽やかな短髪で、その眼には強い意志を感じさせます。
そのすっかり変わってしまった容貌に、家族はじめ友人、元婚約者となったローレルも戸惑いを隠せません。
いったいこの5年間で、彼に何があったのか。
物語はそんな彼の現在と、並行するように過去のフラッシュバックが描かれていきます。
現在のオリバーは、表向きは若き実業家として家族や友人との関係を築き直そうと、誠実に日々を過ごしています。しかしその裏で、孤島の生活で鍛え上げられた肉体と弓矢の技術を駆使して、父の手帳に記された汚職政治家や悪徳実業家らに罰を与える通称「フードの男:アロー」としての活動を開始します。それらは父を追い込んだ要因であり、故郷スターリング・シティを汚すものだからです。
しかし警察からは犯罪者とみなされ、ローレルの父ランス刑事にも敵対視されてしまいます。そんな中、彼の正体を知り受け入れる仲間も徐々に増えていき、ともに町の闇を暴いていきます。
一方過去のフラッシュバックでは、救助される直前から始まり、彼がどのようにその能力を培っていったか、父親の背後に一体に何があったのかを時系列を遡ってひも解いていきます。
少しずつ全貌が明かされていき、様々な組織や思惑が見え、伏線がつながっていく謎解きは、たいていの映画・ドラマファンをうならせるはずです。
さらに母親の過去、妹の出生の秘密。元婚約者の恋人となった親友、再開した彼女との関係。二人の娘を傷つけたオリバーを恨むランスとの確執。オリバーのボディーガードであったジョン・ディグルとの友情。人間関係も交錯し複雑に絡み合い、彼らもまた様々な変化を遂げていきます。
そしてこのドラマを見るにあたって、大事な前提があります。
それは「アローバース」と呼ばれる、ほかのドラマとのクロスオーバーです。
シーズン1は単純に「ARROW/アロー」単体で楽しめます。ところが、シーズン2から『The FLASH/フラッシュ』が、無視できないレベルで絡んできます。ここはあきらめて、同時並行で『フラッシュ』も見ていかないと、後で取り返しのつかないことになります。
というか、同時に見ることで2倍楽しめますので、並行して視聴することを強くおすすめします。
幸い私が視聴していたNetflixでは、どちらも公開されていたので、地上波で放送されていった順番で見ていくようにしました。
「アロー」は、シーズン3で完全に過去のフラッシュバックをコンプリートするまでは、ヒーローアクションものというよりかなり質の高いミステリー作品です。
その後はアローバース全開で、並行世界等SF要素が強くなっていきます。
最もクロスオバーするドラマ『フラッシュ』では、「メタヒューマン」と呼ばれる超能力者たちが活躍する物語なので、もとはそういった能力者のいない「アロー」の世界にも、次第に登場するようになります。
シーズン4以降はそのため、テイストがだいぶ変わっていきますが、その変化は決して無理のあるものでありません。自然に話がほかのドラマと交錯していくので、普通に視聴していればその変貌ぶりも楽しめると思います。
同じくアローバースの『スーパーガール』は、正直そこまで絡んではきませんが、これはこれでおもしろいので、せっかくなら並行して見たほうが楽しめます。
アローバースの説明や見るドラマの順番については、いろいろなサイトで紹介されていますので、ここでは割愛させていただきます。本気で見始める方は、必ず確認してくださいね。
さて「アロー」に戻りますが、とにかく主人公オリバーがめちゃくちゃかっこいいです。一度はそのクズっぷりにうんざりしますが、ヒーローとして完璧に生まれ変わった姿は、おそらく多くの女性にとって「理想の男像」そのものです。
正直、美しく聡明なローレライとの未来を心から期待していましたが、どうやら私だけの願望ではなかったようです。実際に結ばれるフェリシティは、案の定アメリカで放送時にも人気がなかったようですね。それでも、フェリシティへの紳士っぷりと一途さは萌えます。
とにかく彼の肉体美と完璧な男っぷりは、ただ惚れ惚れと眺めていられます。面食い女性は必見です。
アローバースの収拾をつけるために、シーズン最終回で、自分を犠牲にして全員を救おうとするオリバー。そして、そんな彼を追うフェリシティ。
原作とは異なる最後らしいのですが、壮大にして最高の落としどころに帰着します。ぜひ、ほかの作品とも併せて、この世界観に飛び込んでみてください。
ちなみにアローバースの一つでスピンオフともなる『レジェンド・オブ・トゥモロー』も私は大っ好きです。こちらは、話の流れとしては本筋とはまったく関係ない、一話完結物のタイムトリップドラマ。
『アロー』や『フラッシュ』の脇役の寄せ集めとは思えないほど、キャラクターたちが魅力的。全体的にかなりポップで楽しめちゃいます。アローバースの亜流として、こちらも絶賛おすすめしちゃいますね!
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