主人公はハワイの水族館で働く獣医師のヘンリー。
イケメンとはいえないものの、軽妙なトークと明るいキャラクターで、女性の警戒心をたやすく解いてしまうプレイボーイです。
そんな彼が、ある日カフェでルーシーという笑顔のすてきな女性と出会います。
意気投合した二人は、翌朝も一緒に朝食をとる約束をしますが、再会した彼女はまるで彼のことを他人扱い。
実は彼女、交通事故の後遺症により、記憶が一日しかもたない障害(前向性健忘)を患っていたのです。
彼女に残っている最後の記憶は、事故を起こす直前までのもの。
その日は父の誕生日だったため、彼女は毎朝目覚めるたびに「今日は父の誕生日」と認識。
共に暮らす父と弟は、彼女が眠りにつくと、夜のうちに事故当日の日付けの新聞を用意し、彼女が壁に描いた絵を消し、その日の番組が録画されたビデオテープをセット。
彼女が混乱しないように、毎日同じ出来事を再現するという、涙ぐましい努力をしていたのでした。
舞台が常夏のハワイというのも、365日同じことを繰り返して違和感がないという、うまい舞台設定ですね。
そんな事実を知ってなお、いっそ知ったからこそ、ヘンリーの恋心は燃え上がります。
彼は毎朝ルーシーと初対面からスタートしては、アタックを繰り返します。
はじめは何度か失敗しますが、次第に彼女の心をつかむコツを得た彼は、毎日ルーシーに恋をさせ「ファースト・キス」を成功させるのです。
とはいえ彼女の病状が良くなるわけではありません。
彼女の記憶は、必ず一晩でリセットされます。彼女にとってヘンリーは、毎日新しく出会う人であり、何度唇を重ねようが「ファースト・キス」と感じます。
出会いは常に新鮮で楽しいけれど、時間をかけて関係を深めるのは不可能。
しかし変化の兆しは、まったくないわけではありませんでした。
それにしても毎回忘れられて一からなんて、普通なら心が折れてしまう現実です。ずっと真剣な恋から逃げていたヘンリーの、どこにそれほどの根気強さがあったのでしょう。
いつこの関係から逃げ出すかと思いきや、仮にも「獣医」という知的職業に就くくらいですからその聡明さまで発揮し始め。次第に彼女の置かれた状況を、現実的に改善させようと奮闘する、真剣さまで見せていくのです。
正直言って、主演二人ともあまり好きな俳優さんではありませんでした。
しかし実力派コメディアンであるアダム・サンドラーの演じる誠実さや、言わずと知れた子役からのスター:ドリュー・バリモアの可憐な演技は、見るものを惹き付けます。
ちなみに彼女は、10代で辛酸をなめ尽くしたせいか、一時はとがった雰囲気しか感じませんでしたが。年を重ねるごとに、ETで見せたような屈託のないかわいらしさが戻っている気がしますね。
きっともともと、愛らしい女性なのでしょう。
そんな演者たちの魅力も存分に詰まった、ピュアなラブストーリー。
そんな恋の行きつく先は、まったくもって想定外でした。
おそらく、ご覧になったほとんどの方がそうだと思います。
未視聴の方にネタバレになってしまいますので、もちろん結末のお話はしませんが、見て損はありません!
ハワイの美しい空や海を堪能しながら、その恋の行方を見届けてください。
Movie:9「50回目のファースト・キス」(2004)

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