はじめに:沖縄との比較からみる奄美大島の実態
さて奄美大島といえば、ほんの数時間で一周できてしまうと思われている方も多いのではないでしょうか。
実は沖縄本島を除く日本の離島では淡路島に次ぐ2番目の大きさで、周囲は約461kmになります。到底1日では回りきれる距離ではないことがお分かりいただければ。
さらに沖縄本島は中南部すべて、起伏はありながら高い山がなくほぼすべてを土地とし活用できるのですが、奄美大島は断崖絶壁の山だらけです。
沖縄北部地方は手付かずの原始林(やんばる)が広がりますが、奄美大島はそれと同じ状態がほぼ全土にわたっています。
沖縄はその北部にも「シャングリラ」なるテーマパークがオープンいたしますが、奄美ではいまだ前人未到の土地だらけです。

地図でもわかるかもしれません。沖縄は中南部は建物だらけですよね。奄美はほぼ全域緑です。
奄美の海岸線は非常に入り組んでいますので、人々はその無数な小さな湾やわずかに拓ける山間部に、少しずつばらけて住んできました。隣の集落に行くのに山ひとつ超える(あるいは海を渡る)クラスでなので、集落ごとに方言が少しずつ異なるそうです(高齢の方は言葉で互いの出身がわかります)。
その中でも一番広い平地に埋立地を足して、5万人がギュウギュウ詰めで暮らしていたのが私の故郷名瀬市でした。子どもの頃(40年前)は本島すべてで10万人くらいの人口がいたはずですが、今では6万人弱だそうです…。
それでも数字的に多いと思われるの方もいるのではないでしょうか?しかし面積のそれほど変わらない沖縄本島が120万の人口を有している(さらに数万人の米兵および基地内住人、かつ年間1000万人近い観光客がいる)ことを思えば、そうとうな過疎地であることはお分かりいただけるかと。

別の機会に飛行機からとった島の北端です。入り組んだ湾に集落が散らばっているのがお分かりいただけますでしょうか。
ちなみに、海の青い部分までがリーフ(サンゴ礁)に囲まれた部分で、天然のプールみたいな状態です。基本的に島の周りはほぼこのリーフがあり、地元の人間は通常絶対にこの外には出ません。
よって私は、リーフのない海は怖くて泳げません。
ちなみにかなり基本的な確認をしますが、奄美大島は鹿児島県です。沖縄本島のすぐ手前、与論島含む奄美諸島全体まで。しかし「沖縄県名瀬市」と誤って書かれた郵便物も、ちゃんと届きますけどね(郵便屋さんもわかってらっしゃる)。
鹿児島港よりフェリーで奄美大島へ
さて本題に戻りまして。
免許取得から4年弱。片道20分ほどの通勤でも毎日運転をしておりましたので、さすがにハンドルさばきも様になってきました。
ということで2023年ゴールデンウイーク、ついにレブルちゃんと共に地元奄美大島へ赴くことにいたしました。
先に乗船経験のある桜島フェリー(約15分)や垂水フェリー(約40分)と違って、鹿児島→奄美間は一晩(11時間)の船旅です。
料金は旅客9,000円ちょっと+バイク5,000円ほど。これに数年前から、国際線航空便同様、燃油サーチャージ(2,000円弱)も加わるようになりました。まあ仕方ないですね。
下記の航路で毎日1~2隻、鹿児島から沖縄に向けて下船する船と、沖縄から鹿児島に北上する船が出ています。鹿児島⇔沖縄間で約25時間です。

夕方18時発ですが、車やバイクでの乗船は、ほかの乗客より早めに17時前には乗り込みます。あとはゆったり過ごして奄美大島(名瀬港)朝5時着に備えます。
私は乗り物酔いするので、基本帰省は飛行機(片道50分)ですが、レブルちゃん連れではそうはいきません。
まあ鹿児島湾内を出るまでの、出港後2時間ほどはさほど揺れませんので、飲みながら楽しく過ごし(レストランもありますが、私は持込の食べ物と自販機のビールで晩酌です)、いよいよ揺れだす時分には、眠れる酔い止め薬(「眠くならない」とうたっているものもありますが、逆に眠れる奴をチョイス)に任せて寝ます。起き上がると酔うので、そのまま到着まで意地でも横になっています。




乗客の降りるタラップと、乗り物での下船場所は異なるため、別に案内があり下ろします。
ちなみに車やバイクは、ただモノだけ預けるより、一緒に乗船して積み下ろしする方がなんなら安いです。積み下ろしを自分で行うからでしょうね。
車両甲板は鉄板でデコボコしているので、気を抜くと転倒しそうになります。取り回しも慎重にしないといけません。

2023G.W.奄美大島ツーリング
道の形状
奄美大島には南北に幹線国道58号線が縦断しております。
その長さは約80㎞。一車線道路のため、渋滞が発生するとどこにも逃げ場がありません。
この幹線、私が子どもの頃は山越えがほとんどでしたが、今は無数のトンネルによりほぼまっすぐ平面を走ることができます。
実家がある奄美市名瀬は、島の真ん中より少し北寄りになります。そこから空港のある北の笠利町までは、子どもの頃はこの幹線を車で1時間半(そして車酔いとの戦い)ほどでした。
しかし整備された今では、50分弱で到着しますし、道もまっすぐで快適です。
南の瀬戸内町古仁屋までは昔は2時間近くかかりましたが、今は1時間ちょっとで着きます。
というわけで南北縦断するだけなら、今は2時間強でいけるでしょう。
しかし観光地も景勝地も、往々にして山の中。奄美が誇る美しき海、あまたのビーチだって、幹線沿いにはほとんどありません。というわけでただ移動が目的でない限り、国道を外れ県道・市道の山道を走ることを余儀なくされます。
ちなみに島の周りを囲むような道はありませんので、実質「1周」することはできません。
1日目:まずは南をぐるり
滞在は3日間でしたが、曇り+小雨の予報。
早めに遠くからと思い、南半分をまわることにしました。
国道で1時間ちょいの南端古仁屋までを、せっかくなので途中からあえて旧道の山道に入ってみました。
子どもの時には車で通ったことのあるはずの道ですが、その後は何十年も入ったことのないエリアです。
整備もされていませんし、改めて狭いし暗いし、落石や落葉で怖いです。
事故ったら相当面倒なので、時速10~30㎞でのんびり進みます。
軽い気持ちで入ってみましたが、50分くらい抜け出せず怖い思いをしました。おそらく迷い込んだレンタカーがひどい目にあったのでしょう。呪いのような落書きもありました。
うんうん、おすすめはしないし、私ももう行かないです。



そうして2時間ほどかけ瀬戸内町古仁屋に到着。私は観光客ではないので、コンビニで買ったパンとコーヒーをお昼に、海を眺めながらのんびり食しました。
ちなみに古仁屋からは加計呂麻島へのフェリーが出ていたのですが、定期便がなくなってしまいました。あれば渡ったのですが。現在は海上タクシーで行けます。ダイビングスポットでも有名な美しい島ですので、観光で訪れる方はおすすめです。
加計呂麻までいかずとも、古仁屋発の半潜水艦でサンゴと魚たちを見ることもできますよ。
次は宇検村をまわります。
海側の県道がいい感じです。地元の人間の生活道路なので、ここはいたって走りやすい。
曇天で景色はいまいちでしたが、走っていてととも気持ちがいいです。
ここには奄美で一番の標高を誇る湯湾岳にもあります。頂上近くまで続く道を走ってみると、のちに走る阿蘇山にも劣らぬワインディングっぷりが楽しまめました。
そんなこんなで、トータル5時間ほどのソロツーリングを満喫した1日目でした。

3日目:北をぐるり
2日目は残念ながら終日雨のため、バイクでのお出かけは断念。本当はこの日に、がっつり山中をめぐり、景勝地「マテリアの滝」などに行きたかったのですが。まあ実際はバイクではあまりしんどい山道マストなので、やめなさいというお告げでしょうか。(神高い←神秘的な、場所なので)
というわけで3日目は北の方へ行くことにしました。
しかしこの日も厚い雲に覆われて、景色はいまいち~。
まあ沖縄・奄美は例年この時期すでに梅雨、もしくは梅雨前のぐずぐずとした天気は続く頃なので、こうなるのはわかっていたんですけどね~。
景観うんぬんより、ただバイクで走ってみたかっただけなので、私としては満足だったんですけど。


幹線をまっすぐ行ってもつまらないので、もちろん海側の集落を通る旧道に行きました。
父が幼少期を過ごした龍郷町は「田雲」という集落(半世紀以上前に津波で崩壊し住民はいない)で、祖父母が健在の頃は、親族連れだってピクニックに来ていた思い出深い海です。
実は父はここの恐ろしい砂利道を、大型バイクで走り転倒しております。それを聞いていたため、冷やかし半分、ひょっとして中型バイクではいけるかな?と思っていたのですが。実際に目の当たりにしたら「100%無理」と震撼。引き返して別の道に行きました。過去に車では私も何度か運転したことがある道なのですが、バイク目線で見たのは初めてだったので。いや改めて、よくここ二輪で行ったな父。


というわけで、アスファルトのありがたみを感じつつ、あとはまっとうな龍郷町の山道をたどり、美しい白浜がいっぱいの笠利町を潮風を浴びながら走り抜け、大和村からまわって海浜公園大浜海岸を冷やかし、5時間ほどで帰宅したのでした。



最後に:奄美大島観光をお考えの方へ
世界遺産登録されて以降、県外の人が経営するお店や施設だらけになった奄美大島。
地元の人間にほとんどかかわることすらなく、それと気づかず「作られた観光」で帰られる方も多いはずです。
テレビの撮影も定期的にありますが、半分以上が観光のための観光施設のみ放映されています。
それでも自然は本物ですし、もちろん有料のアクティビティは、それなりのものが提供されているはずですので、楽しんでいただければそれでよいですが。
地元の人間が自身の目線で、紹介する技量をもっていないのは残念に思います。
私自身、ちゃんと紹介したいところポイントを抑えるのはなかなか難しいので、文句を言える義理はないのですが。
おいしい島料理も食べてほしいけど、本物はなかなかお目見えできないかも。


そしてご多分に漏れずネットで紹介されているものも、ほとんどが本来の地元に根差したものではないのですが。
しかしそんな中で、出身者として本当にすすめたい奄美の観光どころを抑えた旅ブログを一つ見つけましたので、激推しいたします。
この方すごいな、本物を見つける嗅覚が鋭いのでしょう。他人のふんどしで相撲を取るようで恐縮すが、こんなに完璧なガイドを初めて見つけたので。ツ
ーリング及びドライブで奄美観光を考えている方は、こちらをぜひ参考にしてみてくださいね。
コメント