コメディであり、ファンタジーでもあり、ラブストーリー、そしてタイトル通りリーガル要素も備えたマルチに楽しめるドラマです。
主人公は肥満体形だけれど、有能な弁護士ジェーン…ですが、実は中身はファッションモデルのデビー。
ドラマ冒頭で、携帯のながら運転で事故死したデビー。
自分の死に納得がいかず天国で駄々をこね、リターンキーを見つけて勝手に押してしまいます。
同時刻ジェーンは不運にも、上司の不倫相手の夫が放つ銃弾に倒れたところでした。
デビーの魂は、なんとそのジェーンの中に入ってしまい、デビーは「ジェーン」として生き直すことになるのです。
まあここまでは荒唐無稽といえばそれまでですが。
うまくできている?のは、人格は魂であるデビーながら、体そのものと記憶や能力がそのままジェーンを受け継いでいるということです。
モデルとしての成功を夢見る女性でしたから、デビーははじめジェーンの見た目に少なからずショックを受けます。
しかしこのデビー、「軽薄で単純な考えなし」の人間でしたが、よくよく「善でも悪でもない」実にフラットな人格でした。
お世辞にも賢いとは言えなかったデビーの中(外?)に、ジェーンのもつ「豊富な知識・聡明さ」が搭載され大興奮。
まったく知らなかった法律用語がスラスラ出てきたり、有意義な提案を思いつき周りから感心されたり。
デビーはそんなジェーンの特性を、すぐさま快く受け入れます。
さらにジェーンの「髪の毛や肌が美しい」といった長所にも気づき、デビーのモデルとしてのセンスを発揮して、彼女に似合うファッションを取り入れ始めます。はじめは地味でさえない見かけでしたが、デビーの自信あふれる仕草や、堂々とした動作も相まって、新生ジェーンは段々と輝きを放っていくのです。
そんなジェーンの務める弁護士事務所に、偶然にも(まあドラマですので)デビーの恋人だったグレイソンが勤務することに。
優秀な弁護士である上に、彼はデビーの美貌だけでなく、明るく前向きな人柄こそ心から愛していたという男前な人物。もちろん彼女の死に心から打ちのめされていました。
そんな彼に、自分は「デビー」だと打ち明けたい「ジェーン」。しかし、考えた末に断念します。
しかし一人にだけ、彼女は「正体」を打ち明けます。
そもそもジェーンとして蘇ったデビーは、頼る相手がいません。そこでデビーの親友だったステイシーを訪ねます。
デビーの死にざまを冷笑する周りの人々と違い、グレイソン同様、心から彼女の死を悼み悲しんでいたステイシー。
そこに見知らぬ女性が現れ、自分はデビーだと言い出すのでパニックです。
しかしお互いしか知らない話を聞き、デビーの親友らしく単純ながら実に素直な性格だったため、ステイシーはデビーの魂をもつジェーンを受け入れるのです。
二人はルームメイトとなり、ジェーンは頼れる仲間を得ることができました。
ステイシーは女優を志しており、デビー同様美意識が高くストイックに自身を磨いてきた美女です。
しかしデビーと同じく、太ったジェーンを見下したり、地味な姿を馬鹿にしたりはしません。
むしろ自分と同じ価値観で、同じような生き方をしていたデビーが、バリキャリの才女になったことに寂しさや不安を感じでいました。
一方のデビーはジェーンの姿になったことで、改めて「ルッキズム」の弊害を感じる裁判に対峙。ダイエットしようと奮闘した末に、ありのままの自分を受け入れるべきか葛藤することになります。
そんな彼女たちは、互いの気持ちを打ち明けつつ、さらなる友情を培っていくのです。
始めは「金髪おばかちゃん」でしかないステイシーですが、回が進むごとにその心根の美しさが際立っていきます。
デビー同様裏表のない性格ですが、それ以上に思いやりに満ちた内面の美しい女性であることが判明し、このドラマにはまった人のほとんどは、彼女が大好きになるはずです。
そのほか、デビーをまんまと地上に返してしまったことで罰を受け、ジェーンとなった彼女の守護天使が現れたり。自身の人生を奪われたジェーンも、別の人間として蘇ったり。
様々な思惑が交錯。
そしてデビーの母親に出会った「ジェーン」は、娘としては知りえなかった彼女の姿を見ることになったり、さらにジェーン自身の母親との関係に悩んだり。人間関係はより複雑に。
一話ごとに、その時々のジェーンの思いを反映したような裁判も、2つほど並行して進んでいきます。それほど煩雑なケースではありませんが、その都度考えさせられたり、思いがけない結末になったりと、法定ドラマとしても秀逸です。
意地悪な同僚。困った上司。やりがいのある仕事。
ステイシーとのガールズトークや、ステイシー自身の夢や恋。
そしてジェーンに何かを感じるグレイソン。しかし別の女性と関係を深め、ジェーンにも新たな出会いが訪れ。しかしジェーンとグレイソンの間には、無視しがたい絆が育まれていき…。
それぞれの思惑が交錯し、それぞれが自身の道へと進んでいきます。
そうして意外でエキセントリックな「ハッピーエンド」に向かって、ストーリーは突き進んでいきます。
賛否両論あるかもしれませんが、私としてはしかるべき落としどころだったと思います。
どんな結末に至るのか?ぜひ、あなたの目で確かめてください。
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