アーサー・コナン・ドイルの『シャーロック・ホームズ』といえば、推理小説の先駆けとして、誰もが知る古典傑作です。
と言いましたが、実は私は1作も読んだことがありません。読書好きとしてはお恥ずかしい…。
小学生時代、男子がはまる江戸川乱歩作品が苦手で、その延長で手にし損ねた次第です。
ちなみに江戸川作品は大人になって何冊か読みましたが。
とはいえ『シャーロック・ホームズ』といえば、幾度となく映画化・ドラマ化されていますので、物語の概要は聞きかじって知っていましたし、とても魅力のある物語だという認識はありました。
しかし、少し見ても、ふうん、という感じで。
ワトソンを女性でアジア系のルーシー・リューが演じた、変わり種『エレメンタリー ホームズ&ワトソン in NY』も設定が斬新で好きでしたが、全話を見るにはいたりませんでした。
この「SHERLOCK(シャーロック)」は非常に評価が高かったこともあり、なんとなく見始めたのですが。原作に忠実な内容だからでしょうか、古典的なエレガントさが気に入り、全話一気に視聴しました。
シーズン1-4とご紹介していますが、1シーズンが90分×3話のような構成で、日本でいう2時間ドラマのシリーズモノ的な構成で、見やすかったのもあります。
もちろん現代風にアレンジされていますので、スマホ・PCは必須。
しかし背景は総じてグレーな、なんといいますか雨の多いイギリス、「ベイカー街」のイメージばっちりでクラシック。映像のコマ割り、カットも美しい。
原作にそう表記のある通り「長身痩躯」なホームズを地で行く、ベネディクト・カンバーバッチがまた素敵。男性として好みではないのですが、実写化したホームズの中ではピカイチなのは納得です。
頭脳明晰だが周囲を小馬鹿にし、往々にして常軌を逸した行動をとるその人物像を「ソシアパス」として表現しているのも、最近のミステリー好きには受け入れやすい。
対するワトソンも、原作と同じく元軍医。しかし肉体を負傷した原作と異なり、PTSDによる精神的負傷というのが「現代版」として秀逸です。
「医師」という通常では賢い人物が、ホームズを引き立てる愚鈍さをもつのがワトソン君ですが。
この作品ではだいぶ理知的というか(原作でも貶めているわけではないですが)、役柄へのリスペクトを感じます。
しかし惚れっぽい(女性好き)ところなど、単純な人となりがいい味だしてますね。
モーリアティの登場も現代的。そしてホームズの家族を、より複雑化したストーリー展開も見もの。
また原作内で、退屈な時に刺激を求めていたり、推理に明晰さをもたらすためだったり、アヘン・コカイン・モルヒネをの薬物依存があったホームズが、禁煙中の「ニコチンパッチ」依存症という落としどころもまあいいかな。先の『エレメンタリー』のホームズは、全身タトゥの薬物依存者(ワトソンは支援員)としているところも、いっそよかったのですが。
一話が長いのもあるでしょうか。ストーリーは毎回ドラマというより映画のようです。
原作を知っている人は納得だと思いますが、知らない人間はギョッとするような展開にも翻弄されます。時にワトソン君すら手の内を明かされず、手ひどい扱い。
それでも、シーズン終わりのクリフハンガーを、きれいに収めてくれるのが、古典技法を大切にしつつ現代技法をうまくからめているスタッフの手腕のなせる業でしょう。
タイムトラベル?のような、物語当初の時代背景も感じられる回も好き。
原作のファンはもちろん、ミステリ好きなら間違いなく満足できる作品です。
シーズン5の制作も検討されているよう!ぜひ実現を願って、盛り上げたいところです。
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