Day79:「LUCIFER/ルシファー」シーズン1(2016)-シーズン6(2021)

昨日ご紹介した『MANIFEST/マニフェスト』同様、シーズン3で打ち切りの憂き目にあいましたが、ファンからの強い要望にこたえる形でNetflixが救済された本作。
引き続きシーズン4以降が制作され、シーズン6をもって無事完結となりました。

キリスト教において「ルシファー」とは「魔王サタン」や「悪魔」と同一視される存在です。
最も美しい大天使であったものの、創造主である神に逆らい自ら堕天使となったと言われていますが、その経緯や立場は諸説あります。
過去に、あらゆる映画やドラマ・アニメなどでも様々な設定のキャラクターとして扱われてきました。

この物語における主人公「ルシファー」は、父(神様)の命令により、世界創造以来ずっと地獄を統治してた人物(?)です。
しかし地獄での生活に飽きた彼は、「休暇」と称してもう何十年も地上で暮らしています。
現在の彼は、ロサンゼルスの高級ナイトクラブ“LUX(ラックス)”のオーナー「ルシファー・モーニングスター」として名をはせるプレイボーイ。毎夜セクシーな美女(時には男性)を相手に享楽的な生活を送っています。

ある晩彼のもとを、かつての知人で成功を収めた歌手:デリラが訪れます。
どこか不安げで自信を失いかけている彼女に「自分を取り戻せ」と優しく諭すルシファー。
その目は元天使らしい、人間への慈愛に満ちていました。

ところが直後、彼女は銃弾に倒れます。
ともに銃弾を浴びたルシファーは不死身のため無傷でしたが、か弱い人間の彼女は当然即死。

激怒したルシファーは今度は悪魔の顔で犯人に詰め寄ります。
そして動機を吐かせようとしましたが、狙撃犯は金で雇われただけの末端のチンピラでした。
なんとしても真犯人を探し出して、報復することを誓うルシファー。

そこに捜査のためやってきたのは、クールな美女であるクロエ刑事でした。
一目で彼女を気に入ったルシファーでしたが、生真面目な彼女は彼の軽率さに不信感を募らせます。

ルシファーにはある能力がありました。
彼が目を見て「君が何より望むものは?」と尋ねると、誰もが本心をあらわにするのです。
この力を駆使して、彼は真相を暴きます。
さらにその後も「民間顧問」として他の捜査に携わることになるのですが。
なんとこの能力は、クロエにだけは全く通用しませんでした。
そればかりか、彼女のそばにいると不死身の力さえも失われ、人間のように負傷してしまうことに気が付きます。
当然ながらともに過ごす間に、クロエを口説くルシファーですが、他の女性と違いまったく相手にされいことにもいぶかり、動揺します。
しかし次第に彼女も、ルシファーの捜査能力を認め、独特のユーモアにも心を許すようになっていきます。やがて二人は既知の友人のような間柄となり、ルシファーには「人間らしさ」が芽生えていくのです。

とにかく登場人物がみな愛らしい。
夫と別居中のクロエには一人娘トリクシーがいますが、彼女はルシファーが大好き。しかし人間の子どもになじみのない彼は、子猫のように彼女をつまみ上げ邪険にします。
それすらキャッキャと喜ぶ、前歯が生え変わり中のトリクシーも、戸惑うルシファーもかわいい。

デリラのセラピーだった精神科医のリンダは、始めこそルシファーの魅力にの虜となり身体の関係も重ねますが、やがて彼の変化を鋭く読み解く、よき相談相手となります。

ルシファーの片腕でもある魔物のメイズは、サディスティックで色っぽいバーテンダー。
魔物らしく冷徹な彼女ですが、敬愛していたルシファーの変容の謎を解くべく、リンダに近づきます。しかし彼女と接するうちに、自身の存在について思いを巡らせるようになり、彼女に心を許し親友となっていく過程も素敵。

鑑識官のエラは、優秀なのに若干尻軽で、男運が死ぬほど悪いのですが、誰よりも清い心をもち神様に愛される存在。
やがてクロエ、メイズ、リンダ、エラで女子会をするようになるのが、ニヤニヤしちゃうくらい好き。

ルシファーの兄、天使のアメナディエルは、ルシファーを元の任務に戻すべく画策するのですが、彼の変化とともに自身も人間への見方が変容していきます。
なによりアメナディエルが去っていくときに、屈強な黒人の彼の背中に優美で巨大な羽が現れるところが大好き。一度羽を切り落としたルシファーから、再度羽が現れるところも萌える。
美しい男っていいなあ。

クロエの元旦那ダンも、ルシファーに比べて見劣りするものの、段々いい味だしてくるし。
ルシファーの兄弟や、聖書に出てくる人物が次々出てくるのも気が抜けない。
何より彼らの母親である女神(神様の奥さん!?)が悪女ぶりを発揮するのもよい。

神様に反抗?するルシファーの心を揺さぶる出来事も様々起きるのですが。
特にシーズンはじめの神父様の回が感動でした。
素行の悪かった過去を意地悪くクローズアップするルシファーに、娘を失う過去をもちながら揺るぎない信仰心を見せる神父。二人はともに「ピアノ」が特技で、ともにセッションするシーンは感嘆もの。
ピアノを弾ける男性って、魅力的ですよね。(実際にルシファー役のトム・エリスご自身は弾けないそうですが)
キリスト教になじみのない日本人にも、反抗期の少年のように揺れ動くルシファーの心理は、割と共感しやすいんじゃないでしょうか。

はたしてルシファーは地獄に戻るのか。クロエの存在は彼にとってなんなのか。

物語が進むにつれ二人をはじめ、周囲の人間関係がどんどん変化し、互いに干渉しながら成長していく様子も見どころ満載です。
次第に壮大な展開となっていきますが、逆に人間臭いくらい感情豊かになっていく天使たちに、親近感がどんどんわいてきます。
制作サイドがかわり若干テイストも変容しますが、物語の本筋は最後まで一貫していて、しっかりとした道筋をたどっていきます。
ファンタジーの中に、恋愛だけでなくヒューマニティを感じさせる、意外性にあふれるドラマです。
救済された価値は十分にあります。「神には計画がある」その一端をのぞいてみませんか。

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