Day53:「THE BLACKLIST/ブラックリスト」シーズン1(2013)-シーズン10(2023)

物語冒頭、一人の男がFBIに出頭します。
FBIの10大最重要指名手配犯の一人、レイモンド・レディントン(通称レッド)でした。
「犯罪コンシェルジュ」として財を成し、犯罪帝国を築き上げた人物です。

その彼が、自身の免責と引き換えに、自分が関わった凶悪犯罪事件の犯人情報提供を申し出ました。
その条件として、新米捜査官であるエリザベス・キーン(通称リズ)捜査官を連絡係として指名しするのですが、彼女にはその理由がわかりません。
FBIでは賛否両論の声が挙がりましたが、最終的に貴重な情報の効果をとるという結論に至りました。
そしてレッドのもつ凶悪犯罪者情報「ブラックリスト」に基づき、事件解決を目的とするFBI特別チームが結成されます。

レッドを演じるジェームズ・スペイダーは、中肉中背・禿げ頭の中年(なんなら初老)男性。
ぱっと見、大物犯罪者には見えないのですが、さすがは実力派俳優です。
知的で冷酷な輝きを見せる鋭い眼光。何事にも動じない冷静沈着さ。物腰の柔らかい紳士的なふるまい。
回が進むごとに段々と「レッド」のカリスマ性が感じられていきます。

ドラマは基本一話完結型。
その在り方としては、日本のシリーズ化しているミステリードラマや刑事ものと似ているでしょうか。
しかしその内容はよりスケールが大きく、一話で映画が一本できそうなものも。
犯人が皆目見当つかない事件や、なんならまだ露見していない隠れた犯罪から、レッドが一つをピックアップ。
チームに首謀者のデータを与え、その犯罪者のコードネームがタイトルになることが多いです。

古典的なものからトリッキーなものまで、多岐にわたる巧妙な手口や最新の科学による隠ぺい、もはや職人技ともいえる技術の数々。
そしてそれらをやりとげる、犯罪者の多様なパーソナリティも見どころです。
独立した一つ一つの犯罪でありながら、シーズンが進むごとにそれらが絡み合ったり、同じ人物が介在してきたり。

そんな犯人逮捕に奔走するチームのメンバーは、いうまでもなく皆一流の捜査員。
しかし個人的な問題と抱えていたりトラウマに悩んでいたり、人間味あふれる面々です。
協定通り協力はするものの、最終的にレッドの利益となる展開も多く、彼をなかなか信用しきれず翻弄されるメンバーたち。
それでも次第に友情が芽生え、仲間となっていく過程も見逃せません。

それにしてもレッドとリズの関係が、シーズン半ばまでなかなか判明しないのには、歯がゆい思いをします。
しかしマンネリかな?と思う頃合いに、主要キャラクターに大きな転機が訪れたり、新たな人物が加わったりすることで、飽きさせません。

人気キャラのスピンオフも同時並行であったのですが、こちらは思ったほど振るわなかったようですね。実は私も見たのですが、3話ほどでフェイドアウトしました。
好きなキャラ達のドラマだったのですが、やはり本編に比べると見劣りがしてしまいました。残念。

個人的に一番地味な風貌のミスターキャプランが、大きな謎の一端を担っていたことや、女性なのになぜ「ミスター」なのか、という理由なども併せて、キャラとしてもっとも惹かれました。ちなみに二番目に好きなのは、途中から加わった捜査官サマルでしたが、二人とも切ないドロップアウトをしてしまったのは、ちょっと寂しかったですね。

それにしても主役のはずながら、リズは好きになれませんでした。
シーズン内で、みんなから離れて一人山奥の山荘で過ごす時期がありますが、その時身のほど知らずの強盗に狙われ、返り討ちにする回だけは大好きなんですが。
まあ実際、主役のはずなのに人気がなかったようで…。その行く末は衝撃ながら致し方なかったのかもしれません。

レッドに惹かれ、忠誠を誓う者が後を絶たない中で、多くの裏切りにあうのもドラマの醍醐味でしょう。
始めは盲目的に彼に従っていた側近のデンベですら、時にレッドに懐疑的になるのも、逆にいいですね。
最後まで犯罪者でありながら、犯罪者をどこかで憎むレッドの落としどころ。
その生きざまは、やはり芯が通っていると言わざるを得ません。

長いシーズンですのでたっぷり楽しめます。
刑事ドラマはもちろん、むしろ犯罪者側の犯罪ものが好きな方はぜひ視聴してみてください。

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