のっけから本題を外れますが、京セラ創業者の稲盛和夫氏は
バカな奴は単純なことを複雑に考える。
普通の奴は複雑なことを複雑に考える。
賢い奴は複雑なことを単純に考える。
とおっしゃっていました。(ほかにも格言・名言をたくさん残されています)
複雑なことを素直に複雑にとらえるザ・凡人の私は、「複雑な事柄を、易しい言葉で説明できる」人に、日頃から深い尊敬と憧れの念を抱いております。
この著者の和田先生は、まさにそんなお一人です。
東京大学医学部卒、まごうかたなき日本のトップオブトップの頭脳をお持ちの著者。
高齢者専門の精神科医(専門があるのは存じませんでした)として、長年にわたり高齢者医療に携わっていらしゃいます。
その中で感じてきた現代医療への疑問や、コロナ禍が生み出した本当の弊害について、持論を噛みくだいてお話されている本書。
高齢の方にも読みやすい大きな字、ひらがなの配分は多めで、専門用語などは使わず具体的な数値はたくさん活用されています。
読書が苦手な方にも手軽に読んでいただける仕様で、いかに多くの人にわかりやすく大切なことを伝えようか、という思いの表れを感じます。
超高齢化社会のあらゆる問題はさておき、日本が世界有数の長寿国として認知されてきたことを、ほとんどの日本人は多かれ少なかれ誇りに感じていると思います。
しかしプロローグでこんな数字が示されていました。
男性は9年間、女性は12年間。
これは病気や認知症などで寝たきりになったり、誰かに介助されたりしながら生きる平均期間を表したものです。
心身ともに自立して健康でいられる年齢を「健康寿命」と言います。
日本人の「平均寿命」は男女ともに80歳を超えますが、
健康寿命に換算すると、その平均は男性72歳、女性75歳ということになります。
80歳を目前に寝たきりや要介護になる人が多いのです。
「80歳の壁」は高く厚い。
そんな「お先真っ暗」な現状を、ただつきつけたいわけではありません。
ではこの壁をどう乗り越えるのか。
それこそが本書のテーマです。
和田先生は本書で、80歳オーバーの高齢者を「幸齢者」と呼んでいらっしゃいます。老いを受け入れ、できることを大事にする。そのために推奨するのは、どんどん好きなことをして、楽しく生きること──。
言われてみれば当たり前のこと。でも人はどこかで自分にストップをかけてしまいます。
遠からず80歳を方々、その子どもや孫たち。すべての人に贈る、人生を前向きに生きるヒントがここにあります。
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