Day26:「シッツ・クリーク」シーズン1(2015)-シーズン6(2020)

わざわざ紹介するまでもない、非常に高い評価を受けたカナダのシットコムです。

日本人にとって最もなじみが深いシットコムといえば『フルハウス』あたりでしょうか。
あの頃より、ずいぶん洗練されてきた印象ですね。
いずれにせよ、短時間で気楽に見ることができる点は、今も昔も変わりません。

物語は大手ビデオチェーンを経営するセレブ一家が、ビジネスパートナーの裏切りで破産してしまうところから始まります。
突然すべてを失った裕福な家族。残ったのは、その昔冗談で購入した、田舎町Schitt’s Creekのみ。
このSchittは固有名詞ですが、Shit(クソ)と発音が同じで、音としては「クソの小川」と聞こえます。まあだからジョークで買ったわけですし、そんな名前の(riverですらない)片田舎という意味合いですよね。

この辺私はよくわからないのですが「町を買う」って、何を所有することなんでしょうね?
とりあえず彼らは、町の寂れたモーテルの続き部屋を与えられ、実業家だった一家の長ジョニーはその経営自体にも携わっていきます。

金持ち一家の凋落。古今東西大好物の鉄板ネタです。
コメディなので、その悲惨さではなく滑稽さを描いたものですが。

このドラマの大きな特徴として、それぞれがひょうひょうとしていて、アグレッシブでもなければ悲嘆にくれることもなく(もともと情緒不安定な母モイラは時々壊れますが)、なんともニュートラルなのです。
「金持ちケンカせず」を地でいっていて、誰かをねたんだりうらやんだり、ネガティブな感情にさらされることがありません。

かといって天使のような達観した人間性ではなく、特に遊び暮らしていた子どもたち(といってもアラサーです)は、世間知らずで考えなしの行動をしがち。
もちろん豪邸から、安普請のたった二部屋に押し込められ、同じ部屋で寝起きする羽目になった、いい年の兄・妹は文句たらたら。
しかし、子どものようにケンカをする二人の姿は、なんとも愛らしい。
そして裕福一家にありがちな、子育ては使用人任せだった両親は、そんな子どもたち相手に、奇しくも家族のきずなを感じていきます。号泣する感動じゃなく、じんわり心の温まるほっこり加減がとてもよいです。

そもそも父・息子は本物の親子で、番組の制作者でもあります。太い眉毛がそっくりでチャーミング。
お父様は『花嫁のパパ』や『アメリカン・パイ』シリーズでも活躍されていますので、お顔をご存じの方も多いと思います。
そして息子デヴィッドは、物語の中でパンセクシャルとしての恋愛模様を披露。
日本人から見るとLBGTQを無理やり詰め込むドラマが多いですが、このドラマ内では彼らを偏見なく受け入れていく世界観が、とても自然に描かれています。そこも評価の高さにつながっているようですね。
ちなみに、演じられたダン・レヴィご本人もゲイであることをカミングアウトしています。

もとは女優で、再起を図る母モイラは、『ホームアローン』のお母さん役で有名な女優さんです。
知った瞬間「ケビーン!」と叫ぶ姿が脳裏によみがえりました。
モーテルで寝起きしようが、自分は「大女優」だというゆるぎない堂々さを演じる実力はおさすが。その姿はおかしくも魅力的です。

娘アレクシスは、最初はちょっと鼻につくお嬢様感満載。しかし段々とその素直さが前面に出てきて、前向きに成長する姿が応援したくなります。
演じられた女優さんは、これが出世作になったようですね。

脇を固める町の人々も、始めはいかにも無教養な田舎者という感じですが。
奇天烈な家族を受け入れる度量をみせ、それぞれが家族に負けず劣らずの個性を発揮していきます。

コメディの位置づけですが、ホームドラマの要素の方が強いかもしれません。
見ていて優しい気持ちになれる作品です。
毎晩一話ずつ、のんびり鑑賞してみてはいかが。

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