Day15:「深海のYrr」フランク・シェッツィング(ドイツ)2004

本日は趣向を変えて海外作品をご紹介。
上中下巻3冊(現在は4巻に分けられているようです)にわたる長編海洋冒険小説で、ドイツ国内で200万部を超えるベストセラーになった作品です。

以前よりドイツ人はその生まじめな国民性が日本人と通じるとは思っていましたが、読書好きが多く、特に長編小説を好む傾向があるようですね。確かにぎっしり読み応えのあるこの作品は、活字中毒にはたまらないボリュームです。
さてそのお話の内容は…

ノルウェー海で無数のゴカイが、海底でメタンハイドレートの層を掘り続けていることが判明した頃、カナダ西岸ではクジラ等の群れが船を襲い、世界各地でも猛毒のクラゲやバクテリア(フィエステリア)が潜むロブスターが猛威をふるうように。
突如として牙をむく海の生き物たち。海岸でいちゃつくカップルが襲われる描写など、めちゃめちゃ怖いです。
さらにゴカイによる大陸斜面の崩壊で、ヨーロッパ北部の都市は30mを超える大津波によって壊滅状態に。逃げ惑う人々。そこに登場人物たちのあらゆる人間関係も描かれます。
ついにアメリカが中心となって、世界中の科学者と共に異常事態の原因の調査が開始。その矢先に、フィエステリアを搭載したカニがアメリカの都市を襲います。
中東国による生物兵器テロ説など様々な憶測が飛び交う中、海洋生物学者のヨハンソンは深海の知的単細胞生物による攻撃だという理論を展開。構想中にたまたまキーボードでたたいた「Yrr(イール)」と名付け、一丸となって防衛策を練ることに。

宇宙と同じくらい、神秘的で謎に満ちた「深海」が舞台となっている本作。
映画「アビス」でトラウマ的恐怖を感じた人ならば、設定だけで震え上がります。
実際に深海へ潜るのはクライマックスの一瞬ですが、深海にいながら地上にいる人類を脅かす、知的生命体が存在すると考えるだけでゾクゾクします。
当時の科学理論で実に理論的に構築されたストーリで、Yrrとコンタクトを試みる「未知との遭遇」の過程は息をのみます。その落としどころも最高でした。
軍人や世界中のさまざまな科学者たちが登場しますが、人物一人一人の描写も丁寧になされていて、その恋模様なども見どころです。

とにかく長い作品ですが読み応え十分、退屈はさせません。私は3日ほどで一気読みしました。我こそは読書好き!SF好き!という方は、ぜひチャレンジ!?してみてください!

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